本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

遂に「原発事故安心プロパガンダ」の本命が始動?

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 遅かれ早かれこういう団体は出来ると予測はしていたが、遂に出てきた。以下、電気新聞記事から。


福島の風評被害払拭へ、東電など11社で協議会-18日に設立総会(5面)-電気新聞-

 

 東京電力など11社が参加し、福島県産品や観光の風評被害払拭に向けた活動の輪を広げ、活動の定着を図るため の「福島復興推進企業連絡協議会(仮称)」が発足することになった。18日、東京・内幸町の東電本店で設立総会を開く。各企業で取り組んでいる県産品の購 入促進や観光促進などの事例を参考にし合い、企業ネットワークとしてより継続的、組織的な諸活動を展開する

 

 国や原発ムラは、311以前の「原発安全神話」が311で崩壊したので、現在は事故による被害は大したことない、殆どは「風評被害」で「除染さえすれば安心」だという「心神話プロパガンダ」を推進している。

 

 かつての「原発安全神話」を推進していたのは電力会社と電事連だったが、福島において(全国の原発所在地も同様)その中核を担ったのは、東電などからの出向組で作られた「福島県原子力広報協会」や「原子力懇談会」などであった。これらの団体は東電からのカネで県内での原発説明会や懇談会、シンポジウムなどを実施し、福島民報や民友に広告を掲載していた。

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 これらの原発推進団体は原発事故により自然消滅したのだが、新たな「原発心神話」流布のために、似たような集団が旗揚げしようとしている。それこそがこの福島復興推進企業連絡協議会(仮称)」と言うわけだ。

 

 一口に福島と言っても、非常に範囲が広い。原発被害の深刻な浜通は、県全体から見れば一部分に過ぎない。だから、福島県全体の復興と繁栄の為には、浜通地区の被害を出来るだけ過小評価し、実害もできる限り「風評被害」というレッテルを貼ってごまかしていくのが得策だ、というのが今の国と福島県のスタンスだ。そのために国は今までも様々な援護射撃を打ってきたのだが、遂に福島県内でその中核を担う団体が作られる。

 

 福島県内で経済活動を営み売り上げを増やそうとする企業及び団体にとって、原発事故に伴うイメージダウンは全て「風評被害」であって、なんとかしてそれを払拭したいと考えるのは当然だ。だから、イメージダウンになりそうなものには「風評被害だ」「復興を妨げる邪魔者だ」というレッテルを貼り徹底的に排除する。または「風評被害」により困っています、という同情を集めることによって自己正当化を図っていくというのが基本方針だ。一生懸命復興努力をしているのに風評被害で困っています、というのは俗耳に入りやすく、それこそが国と原発ムラの思うつぼである。

 

 しかし、福島で起きた人類史上最悪の原発事故と、それに伴う環境汚染、そして未だに10数万人が避難を余儀なくされている現状は決して「風評被害」などではなく、厳然たる「事実」である。その苛酷な現実に頬被りをして県産品や観光を売り出そうなど、県民の儚い願望を巧妙に利用した、国と原発ムラによる実に巧妙なプロパガンダであると言えよう。

 

 しかも、その中心には東電がいる。原発事故を引き起こした主犯である東電は、自らの賠償額が軽くなるのであれば、いくらでも適当な美辞麗句を並べ、「福島はもう安全です」と言うだろう。まさしく盗人猛々しいを地で行く行為ではないか。こんな極悪企業を復興の中心に置こうという神経が理解できない。

 それでももし福島県民がこんな団体を信用するのなら、さすがにいくらなんでもお人好しすぎる、と私は思う。この団体の主義主張にはこれからも注意し、過去の事例と照らし合わせながら、このブログで紹介していきたい。

 

 

 

韓国語版「原発広告」の出来が素晴らしい!

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  本日、韓国語版の「原発広告」が届きました。まずはその大きさにびっくり。

縦22,5㎝、横も15㎝あって日本の一般的な単行本よりかなり大きいのです。中身も、見開き(2ページ)を使って丁寧に訳しているため、540ページの超ボリューム。これを日本で出したら3000円はするよな、という感じですが価格は18000ウオン(約1800円)程度で原本よりちょっと高いくらい。

 ハッキリ言って想像以上に出来が良くてびっくりしました。これくらい大きければ、一つ一つの広告も見やすくて読者に優しい。韓国の本はみなこのサイズなんでしょうか。

 翻訳の話を聞いたとき、まず心配したのが、広告タイトルやボディーコピーもきちんと訳されないと、その広告の意味が伝わらないのではないかということでした。そこだけが懸念材料だとお伝えしたところ、先方(韓国側)ではまさにその点をきちんと伝えることを最優先に考えてくれて、翻訳作業に半年近くをかけてくれたようです。私は韓国語は全く読めませんが、販売サイトの紹介文を翻訳サイトで読んでみたところ、大変丁寧に作業してくださったように感じました。

 

 韓国にも原発が25基もあり、その多くで大小の事故が頻発しているようで、反対運動が活発になっていると聞いています。日本における原発プロパガンダの実相を見て頂き、是非韓国の原発廃絶に役立てて頂ければ、と思っています。

(下は韓国語版購入サイトへのリンクです)

 


[도서] 원자력 프로파간다, 혼마 류 저/지비원 역, 9791185502083 | YES24 상품정보

 

 

「原発プロパガンダ」を記録する重要性

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28日は、「原発広告と地方紙」のデータ収集をやっていただいたボランティアさん達と楽しい昼食会でした。皆さんそれぞれ様々な動機でこの度のデータ収集に参加頂いたのですが、驚いたのは皆さんの経歴の豊富さ。長年プラントエンジニアとして世界各地で活躍された方(70代!)や、やはり長年ネイティブアメリカンに惹かれてアメリカにいらっしゃった方、カンボジアでボランティアされていた方など、国際色も豊か。そうした方が、「反原発のために何かしたいというお気持ちで、今回の作業に結集頂いたのです。皆様、本当に有り難うございました!

 

 席上でもお話ししたのですが、この「原発広告」シリーズは、日本という国が総力を挙げて原発推進に猪突猛進した、負の歴史を記録しようとした本です。

 有史以来ひたすら領土の取り合いをしてきたヨーロッパ諸国とは異なり、日本という国は太平洋戦争に負けるまで、幸か不幸か「戦争に負ける」という体験をしないで済んできた国でした。負けたことがないので、真剣に反省することが必要なかったのです。

 これに対し、西欧列強であるフランスもドイツもイタリアも、数世紀にわたる戦争、特に20世紀の二つの大戦を経て「反省する」ことの大切さを学びました。特にドイツのナチスに対する反省は凄まじく、小学校から徹底的にその問題点を追及し、高学年の現代史の授業は殆どがナチス否定のために費やされると聞いています。第二次大戦を引き起こした結果、国が滅亡し、さらに戦後長い間東西に分裂させられていた現実に基づいた政策なのでしょう。

   しかし、同じように国土の大半を焦土にされた我が国は、敗戦を「終戦」といってごまかし、さらには連合軍による極東軍事裁判に戦犯追及を任せきりにし、自前で戦犯を裁くことをしませんでした。もちろん戦後しばらくは戦争に荷担した元軍人や財閥、政治家などはパージされていましたが、それが解けると彼らの多くはまた大手を振って元のさやに戻っていったのです。結果的にこの「責任を徹底追及しない体質の温存が、その後の我が国の運営全てに適用されてきました。

   この国家を挙げての無責任体質は、我が国の歴史教育に如実に表れています。300万人以上の国民が亡くなったあの戦争に関する教科書の記述は非常に少なく、授業時間も極めて短いままであり、当然ながらあの戦争の責任がどこにあるかなど、全くと言って良いほど教えていません。  

    私は、この「責任追及をしないいい加減さ」が「第二の敗戦」とも言うべき福島第一原発事故処理の無策、究極のモラルハザードにも繋がっているのだと思います。記録という面で言えば、日本の太平洋戦争突入に荷担したメディア(当時の新聞・雑誌)の責任はすでに定説となっており、様々な著作や資料でその当時の記事や論調を確認することが出来ます。しかし、311以前の原発プロパガンダに協力していたメディアのまとまった記録はどこにも存在せず、ヘタをすると誰も検証しないまま証拠が消去されていく恐れがありました。それを阻止するために、私は拙著を書こうと考えたのです。

    「プロパガンダ」と書くと、多くの方々は「現代の日本でそんなことが起こるはずはない」という先入観があり、懐疑的な表情をします。しかし、原発推進は産官学の複合体に加えてメディアまでが加担したことは明らかであり、その40年以上という年月は、我が国の戦後の歩みと重なっています。ですから、なぜそのような体制になってしまったのか、社会学的・歴史的な見地からの分析が必要な領域にまで達していると思うのです。

    今回の新作執筆にあたり集まったデータは、写真にして8500点以上という膨大な量でしたが、本に掲載できたのはわずかにその20分の一でした。これに前作で集めたデータを加えれば、優に1万点以上の資料があります。

これを後世に残し、志のある方々、研究者に役立ててもらうため、現在アーカイブ化の構想を練っています。 完成すれば、年月日・メディア名・タイトル・記事中出演者というあらゆる調べ方が可能になり、我が国の原発プロパガンダ史を実証するだけでなく、あわせてメディア史・広告史をも俯瞰する一大データベースになると考えています。ご関心のある研究者の方がいらっしゃれば、是非ご一報ください。 

 

原発広告

原発広告

 

 

 

原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢

原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢

 

 

福島県知事選挙と過去を知ること

昨日は福島県知事選挙だった。

この選挙は原発事故後初の知事選と言うことで国内のみならず世界的な注目を集めていたのに、自民党が勝ち馬に乗っかろうと当初否定していた内堀候補に相乗りしたため、どっちらけ。選挙をする前から結果が見えている形になってしまった。

それにしても、内堀氏は除染と観光誘致で福島の復興と言っているから、避難や様々な健康被害の実態把握や予防はしないだろう。そこはもっと争点になるべきだったが、福島民報と民友がまたも県庁の太鼓持ちとなって争点をぼかしたので、結局はただの「県政信任選挙」となった。

10月26日と言えば、311以前は原子力ムラがいつも大騒ぎしていた「原子力の日」。毎年、新聞や雑誌に下のような広告をバンバン掲載していた。国も県も電力会社も皆グルになって県民を騙していたのだ。県民(特に原発誘致とは関係ない若年層)こそもっとこの事実を知るべきだし、もっと怒るべきだ。

そこで素朴な疑問なのだが、ここまで40年以上も自分たちを騙してきた県庁や政治家(知事や県議会議員)をなぜいまだに信用するのだろう?内堀氏なんてその代表格のような存在ではないか。

騙されてきたという自覚がないのか、それとも仕方ないと思っているのか、はたまた今の食い扶持を与えてくれるのなら誰でもいいと思っているのか。福島県民をひとくくりに評価するのは本意ではないけれど、非常に残念な結果だったと思う。

 

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一月万冊 清水有高さんが「原発広告」を推薦してくれました!

こちらも、一月数千冊の読書を実践している清水有高さんが拙著を紹介してくださっています。一ヶ月に数千冊って凄まじい量ですよね。このバックの蔵書もヘタな書店よりもすごいと思います。清水さん、どうも有り難うございます!


原発広告 本間龍さん著 感想 博報堂出身の著者が原子力の広告戦略を暴露する - YouTube

 

こちらは2回目。苫米地先生とのダブル紹介です!


原発広告 本間龍さん著 原発洗脳 苫米地英人さん著 ダブルオススメ - YouTube

 

 

原発広告

原発広告

 

 

「原発広告と地方紙」アサヒ芸能記事書き起こし

またもや時間が空いてしまいました~、すみません!

どうもツイッターやFBなどをやっていると、諸々書いた気になってブログをおろそかにしがちです。今日からはなるべく毎日、書いていきます。

新著「原発広告と地方紙」について、週刊アサヒ芸能がなんと3ページにわたって紹介してくれました。記事を書いてくれた同誌編集部の方が「原発とメディアの癒着を広告段数で証明するという手法に驚いた」とインタビューしてくれた内容が記事になっています。そしてツイッターで知り合いになった新宿デイジーさんがなんと全文書き起こしてくださったので、ここに転載させていただきます。デイジーさん、本当に有り難うございます!!

(以下、記事です。カラーなどの強調は私が手を加えています)

 

アサヒ芸能北海道新聞福島民報、東奧日報、新潟日報福井新聞…「原発と地方紙」癒着暴露本でわかった2兆5000億円収賄全貌!】

原発立地県で発行される「地方紙」には多くの原発広告があるはずーー。そんな疑問から、延べ136年間もの莫大な量の新聞を調べた結果が本になった。暴露 されたのは「広告料」を軸にした「原発」と「メディア」の“収賄”関係。圧倒的な地域シェアの媒体は住民を洗脳するために使われていた!

《広告の量が重大事故と連動》

10月1日に発売された『原発広告と地方紙ーー原発立地県の報道姿勢』(亜紀書房)。1960年代から遡って地方紙に掲載された原発広告の量と内容を調査したものだ。著者の本間龍氏が語る。

本間龍「完全に国民をダマそうとする意図が政府や電力会社にあり、その意図に基づいて40年以上も行われてきた事実を見ていただきたい。国民の原発に対す る無知をいいことに、電気料金を使って洗脳を続けてきました。そのことを思い返してほしい。現実味を帯びてきた再稼働も皆さんをダマすものです。証拠はこ の本の中にあります」

地方紙の地域シェア率は、同じ地域に配られる朝日・読売などの全国紙を圧倒的に凌駕している。

本間龍「日本の原発の4分の1が集中する原発銀座ーー福井県福井新聞はシェア率72.8%です。生まれてから死ぬまで、その新聞しか読んでいない人もいるでしょう。ネットが登場する以前は反論するものがない。一方的に情報を伝えることができたわけです」

大手広告代理店で18年間勤め、担当地域の売り上げを6倍にした経歴を持つ本間氏は、いわば地方広告のプロ。一般読者にわかりやすいように、データの『量』にこだわったという。

本間龍「環境NGOグリーンピース・ジャパンに協力いただき、30数名のボランティアの方が7カ月、1つ1つの紙面をチェックしました。延べ136年間分の新聞を調査した集大成です」

【電力9社の普及開発関係費】
(1970年〜2011年度/億円未満は切り捨て)
北海道1266億円
東北2616億円
北陸1186億円
東京6445億円
中部2554億円
関西4830億円
中国1736億円
四国922億円
九州2624億円
合計2兆4179億円

広告主が広告を媒体に出すことを『広告出稿』と呼ぶ。電力会社は広告料を『普及開発関係費』として計上する。1970年〜2011年までの電力9社の合計額は、実に約2兆5000億円にもなるのだ。

本間龍「広告代理店時代、担当地域には原発がなく、地方銀行が地方紙へ最も多く出稿していました。それでも年間5〜6億円。ローカル企業の広告料はそんな ものなのです。一方、東京電力も関東ローカル企業ですが、05年には1年間で約290億円もの広告料を出している。これはありえない。まさに桁が違うわけ です」

広告の分量を示す基準としたのが『段』である。新聞1面は15段あり、『段数』の合計で広告の量を視覚化している。段数が多ければそれだけ多くの原発マネーが使われたことになるのだ。

本間龍「私の担当していた地域の銀行で出稿段数は年間は100段もいかないくらいです。原発関連は年間200段、300段を平気で出稿している。事故があると増えるのは、新聞で『賛成』と書きにくくなったので、代わって広告を使って安全神話を宣伝するということです」

原発広告出稿段数表』によると、原発広告は69年の福島民報(19億円)から始まることがわかる。67年に福島第一原発が着工し、71年に運転を開始する。この時期が原発広告の始まりだった。

表を見ると出稿段数の増減は、まさに原発の着工、稼働や事故と連動していることがわかる。では、歴史的事故の年を見てみよう。

79年、アメリカのスリーマイル島原発人為的ミスによりメルトダウンが起こる。のちにレベル5(最高はレベル7)と判定されたこの事故は日本に伝わり、 作り上げてきた原発安全神話が崩壊しかかった。原発立地県民の不安を解消するためか、この年の広告出稿量の合計は前年の389段福島民報『福島第一・ 第二原発』66段・福島民友『同』124段・静岡新聞『浜岡』157段・南日本新聞『川内』42段)の約2倍に当たる789段(河北『女川原発』63段・ 福島民報295段・福島民友227段・福井新聞敦賀美浜・大飯ほか』204段)となっている。

さらに86年には、人類史上初のレベル7事故である、チェルノブイリ原発事故が起こる。

この年、青森県の東奧日報では、年間なんと777段(北海道新聞泊原発』60段・東奧777段・福島民報127段・福島民友282段・福井新聞156段・愛媛『伊方』104段、合計1506段)もの記録的な原発広告が掲載された。なぜかーー。

本間龍「歴代最高の出稿記録です。この年、青森県六ヶ所村再処理工場』建設の前段階である海洋調査が行われました。誘致から工事に進む第一歩の年です。 チェルノブイリの恐怖を払拭するために、紙面全部を買うくらいの資本を投下したのでしょう。危ないことが起こると、それを消すためにアクションを起こすと いうことです」

六ヶ所村の施設は、全国の原発から出た使用済み核燃料からウランプルトニウムを取り出す工場。つまり、原発に関わる全国全ての企業、電力会社から広告が集まることになる。

原発広告出稿段数表』によれば99年には合計1541段(河北233段・東奧日報460段・福島民報411段・福島民友437段)もの広告が出稿されていた。

「この年、2つの大きな事故が起こります。石川県志賀原発臨界事故と、茨城県東海村JCO臨界事故です。チェルノブイリの記憶が強く、国民が反原発に傾いていった」(社会部記者)

「アラレちゃん、星野仙一を広告塔にして安全神話を作った」

広告の分量は世論操作のために、莫大な資本が投下された『証し』である。

広告が『安全神話』や『原発のメリット』流布に使われたことは、本間龍氏の著書『原発広告と地方紙』に掲載された403点もの広告や記事写真からも明らかなのである。

「この子らの20年後」(78年11月2日 福島民報
大熊町双葉町では雇用が増え、経済活動も活発になりました」(86年3月16日 東奧日報)
「そろそろバテ気味石油くん」(85年10月26日 新潟日報

福島第一原発事故以降ではしらじらしく聞こえるが、当時、こうした言葉は地方紙を通じて立地県の読者たちに浸透していった。

福井新聞では81年10月26日、当時、人気絶頂だった鳥山明氏の漫画「Dr.スランプ」の「アラレちゃん」が「原子力発電豆辞典」として、原発を解説している。

2010年11月11日には、先日、楽天の監督を勇退した星野仙一氏を前面に出して「まっすぐ、低炭素な社会へ」という広告を掲載している。

調査の結果、印象深かったのは福島県の2紙ーー『福島民報』『福島民友』における、『広告』と『論調』の調和であったという。

本間龍「同じ県に2紙あるので推進・反対で論調が割れているのではと、考えていました。ところが、調べると2紙とも原発賛成の論調。福井で事故が起こると『あちらは原燃で、福島は東電だから安全』という記事が載ります。電源三法のお金の恩恵が大きいという記事も多い」

安全神話から安心神話へ転換》

3.11の福島第一原発事故で『安全神話』は崩壊した。原発は停止し、各電力会社は広告を出稿する余裕がなくなった。原発広告も稼働停止となったのかーー。

本間龍「すでに一部の電力会社が『テレビCMを流せないか』と打診しています。今までのように『安全神話』を訴えられないので、現在では『安心神話』を訴えるようになっています」

これまでは、

原発は絶対安全な技術→原発クリーンなエネルギー→それは日本に必要」

という広告の論調が、

化石燃料で収益悪化→放射能の影響は風評被害で実害は軽微→経済維持には原発の部分稼働が必須」

という論調に変わっているというのだ。

本間龍「原発広告』は『安心神話』を流布する形で静かに復活しているのです

再稼働目前の今だからこそ、本間氏の『原発広告と地方紙』の凄みが伝わってくるのだ。



〜2014年10月14日火曜日発売のアサヒ芸能より

 

原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢

原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢

 

 

JAM THE WORLDに出演しました。

  26日の金曜日、JーWAVEのJAM THE WORLDで、ジャーナリストの堀潤さんとお話ししました。
昨年も丁度同じ頃「原発広告」の発売にちなんで呼んで頂いたので、JーWAVEにお邪魔するのは
二度目でした。

   今回も新著「原発広告と地方紙」の新発売に合わせてだったのですが、さすが掘さんは元NHK
記者として様々な現場を歩いてきた人だけあって、地方新聞社が原発広告に頼ってしまう台所事情や、
そのためにどうしても報道の姿勢が歪められる現場の状況をよくご存知なので、非常に話が弾みました。

   中でも非常に嬉しかったのは、堀さんが本を開いて実際に中身を声に出して読んでくださったこと
です。「○○ページのこの記事ですが・・」と言って会話すればリスナーに具体的なイメージが伝わるので一番良いのですが、拙著の中身は各新聞社の記事を遠慮なく掲載していて結構センシティブなので、正直番組内で読むのはかなり難しいかな、と思っていたのです。

   ところがそういうことは一切気にせず、掘さんは次々に内容を読んでくださったので、本当に驚き、というか感激しました。その後もどちらかといえば私の方が遠慮していたくらいで、掘さんはどんどん私に喋らせようとしてくださったので、大変有難かったです。

   なので最後の質問で、「大手広告代理店が次々に原子力産業協会に入会したと書いてありますね」と聞かれたので、そこは当然「電通博報堂ADKの三社ですね」と答えるべきところをとっさに「業界ナンバーワンから三位までですね」と思わず自主規制してしまいました。

  もちろん少しでも業界を知っている人ならそれでも分かることなのですが、多くのリスナーにはわかりにくい表現だったと反省しています。でも全体的には、普段なかなか電波には乗らないような話が出来たのではないかと思っています。

   掘さんをはじめ、番組を作っている方々皆様と、お聞き頂いたリスナーの皆様、大変有難うございました!