本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

老醜が率いる「原子力国民会議」というトンデモ団体

 先日「福島復興推進企業連絡協議会(仮称)」という胡散臭そうな団体についてお知らせしたが、それを遙かに上回るレベルのトンデモ団体が今年の6月に誕生していた。

 その名も原子力国民会議

この古くさいセンスもひどいが、一体この「国民」って誰のことなのか?という疑問を感じつつ以下の設立目的を読むと、そのあまりのひどさに絶句する。

 

「安全確保を前提に原子力の平和利用を世界規模で展開する」ことの重要性に鑑み、我が国産業界及び関係各界と協力しながら 「原子力を国民の手に取り戻す」という目標の実現に努めるとともに、海外関連機関とも連携しながら、 世界のエネルギー問題と地球温暖化問題の解決に貢献する活動を展開し、そのため、 人々の原子力に対する理解の促進と原子力政策決定機関に対する要望を展開することを目的としています。

 

 世話人

有馬 朗人 (元文部大臣、元東京大学総長)  84歳
今井 敬  日本経団連名誉会長、新日鉄住金名誉会長) 85歳
葛西 敬之 JR東海名誉会長) 74歳
石原 進  (九州経済同友会代表委員、JR九州会長) 69歳
木元 教子 (元原子力委員会委員、評論家・ジャーナリスト) 82歳

原子力国民会議

 

 

 一見して明らかだが、この文章にはあの悲惨な福島第一原発事故に対する記述がない。さらに、世話人はいずれも昔からの熱心な原発推進論者だが、事故に対する反省も全くない。現在でも10数万人が故郷に帰れず、原発事故関連死亡者が1000人を超えているこの事態を一体どう認識しているのか。
 平均年齢78歳の、かつての原発推進論者が雁首を揃えているのだから、まずは自分たちが招いた原発事故の責任について、今も被害に苦しむ人々に対して言葉を尽くして詫びるのが人間としての最低の節度ではないか。
 今も続く原発事故の惨状については一切触れず、自らの責任についても全く黙して語らない。こういう人々が「国民会議」などと名乗ることに、激しい憤りを覚える。この人々は国民の代表者ではないし、逆に原発安全神話を流布させて事故の遠因を作った原発事故の戦犯である。こういう人々のことを普通は厚顔無恥という。
 朝日新聞の調査で、昨年実施されたエネルギー政策に関するパブコメに寄せられた国民の意見の9割が脱原発を求めるものだった。


脱原発の声9割超 パブコメ、基本計画に生かされず:朝日新聞デジタル

 
 もちろんパブコメに集まった意見が全てだとは思わないが、様々なメディアの世論調査でも、7割近くは脱原発を望む結果が出ている。つまり、民意は明らかに脱原発なのだ。
 その民意を全く無視して原子力を国民の手に取り戻す」などとは見当違いも甚だしい。彼ら原発ムラがやりたいのは、原子力を国民の手から取り戻し」かつてのように湯水のように電気料金と税金を使って安全幻想の夢に浸ることだ。そんな愚行を絶対に許してはならない。

 

世話人達が登場する原発広告を多数収載。

原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢

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