本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

犯罪は減少している?

 世間の認識とは違っているが、実は犯罪の発生率というのはここ5年で減少してきている。国が発行している「犯罪白書」にもそう書いてあるのだから間違いない。わが国の犯罪発生件数は平成14年度の369万件がピークで、19年度は269万件にまで減少している(平成20年度版犯罪白書より)。実に25%近い減少だ。
 ところが、昔に比べてTVなどで流れる犯罪報道が桁違いに増えたため、多くの国民は「犯罪報道量の増加=犯罪の増加」と思いこまされている。警察や法務省などは、自らの予算獲得には国民に恐怖感を与え続けていた方が都合が良いから、犯罪率の低下をアピールすることなどはしない。そしてNシステムや町中への監視カメラの設置を促進し、その運営のための自らの天下り先を確保していく。実に官僚らしいやり口だ。
 この犯罪率の減少に反比例しているのが、裁判の厳罰化傾向である。平成14年度に比べると、有期刑を受けて服役する者は10%以上増え、それが刑務所の慢性的な収容率悪化を招いている。この裁判の厳罰化は、なにも裁判官が勝手にやっているのではなく、国民の「厳罰化要望」を如実に反映させている結果だ。
 そしてこの「厳罰化を望む気分」は「犯罪は増加している、だから厳罰化して犯罪を抑止しなければならない」という「恐怖感」から来ている。ところが実際には犯罪は確実に減少して来ているのだ。この矛盾は社会のあらゆる場面に重大な影響を与えているので、少しづつ思うところを書いていきたい。