本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

刑務所に戻りたいから再犯するのか?ふざけるな共同通信!

 本日の共同通信ニュースから


『刑務所戻りたいと無賃乗車の疑い 当時の所持金は百円

 福井署は24日、3日前に出所したばかりの刑務所に戻りたいと、タクシーに無賃乗車したとして、詐欺の疑いで住所不定、無職市橋義和容疑者(52)を逮捕した。

 同署によると「所持金がなくなり、刑務所に戻りたかった。出身地の福井県で逮捕されたかった」などと供述しているという。

 逮捕容疑は、金沢市のJR金沢駅付近から福井市内までタクシーに乗車し、料金約3万5千円を払わずに降車した疑い。

 同署によると、市橋容疑者は21日に石川県内の刑務所を出所。逮捕当時の所持金は100円だった』


 またか、と本当に切なくなる。
切なくなるのは、この容疑者の行為もそうだが、この共同通信の見出し、
「刑務所戻りたいと無賃乗車の疑い 当時の所持金は百円」の方だ。

 体験者としてハッキリ言うが、自由を極限まで制限される刑務所に戻りたい者は99%、いない。ではなぜ出てきたばかりですぐ再犯してしまうかというと、答えは簡単、「生活していけないから、生きていけないから」なのだ。決してム所に戻りたいからではない。

 ム所で作業していると作業報奨金という手当が出るのは事実だが、これは時給が約5円(50円ではない)。普通に働いても月給1000円程度にしかならない。年月や習熟度によって上昇はするが、それでも3年刑期でもらえる額は4〜5万円である。出所して親類縁者が面倒をみてくれる者はいいが、頼る家族がいなければ、さに保護施設に入ることが出来なければ(人数制限がある)公的な助成手段はほぼ皆無である。

 ということはつまり、ム所を出れば即、金に困ると云うことなのだ。前科者だと正直に告白すればハローワークでは絶対に仕事は見つからない。住所不定では生活保護も受けられない。私も体験したが、地域の福祉課に連絡しても「どうしようもありませんね」と云われるだけだ。これで一体どうやって「更正」し「再出発」すれば良いのだろう?

 怒りを感じるのは、共同通信などの報道機関が「ム所に戻りたいからやった」と警察発表をそのまま書き立てることだ。物事には必ずその原因がある。3日前に出所した者の所持金が何故100円なのか。何故戻りたいなどと云ったのか。そこを全く取材せず、警察発表を大本営発表よろしくただ垂れ流すだけ。そして世間の人々は「なんだ、刑務所ってそんな楽なところなんだ。結局出所しても前科者は駄目なんだな」と誤解する。そしてまた出所者への無理解が増幅する・・・報道機関がその片棒を喜んで担いでいるのだ。

 再犯率が高いと云うことは、それだけ国家の社会的コストが増大するということだ。年間3万人出所する元受刑者の内、半数は3年以内に再犯してム所に戻るという。膨大な無駄である。欧米ではすでに出所者に資金や住まいを提供して再出発まで保護する施策を実行している。日本も早くそういう体制に移行するべきだと切に思う。(この項は続きます)

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