本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

高相容疑者はなぜ捕まったのか?薬物犯の捜査優先度とは

 今回の「のりぴー事件」はもとはといえば夫の高相容疑者が渋谷の道玄坂路上で逮捕されたことがきっかけだが、あちこちで「なぜ警察は彼を路上で職質したのか」「彼はマークされていたのではないか」と話題になっているので、警察の覚醒剤取り締まり方法について書いてみよう。

 まず大前提を書くと、薬物犯罪というのは、(密輸組織の壊滅等の大事件以外)警察内部での捜査優先度では低い方だ。

 全国の警察署には日夜膨大な事件が持ち込まれるが、大別すると現行犯または直近で発生した事件と、被害者からの告訴等を受けて捜査をし、逮捕にもっていく事件の二種類となる。

 このうち告訴は、弁護士からの告訴状を受理したら、最終的にその案件をどう処理したかを検察庁に報告しなければならないのでほったらかしにも出来ず、いわばリミットのある案件として取り組まなければならないが、それらに比べれば薬物事件は「被害者がいない」案件(もちろん薬物がからんで傷害事件になれば別扱い)なので緊急度合いが段違いに低いのだ。

 私は留置場での勾留が4ヶ月にも及んだので、留置担当の警官達と仲良くなり、暇つぶしに様々な捜査の現状についても随分話を聞いた。それによれば、警官の世界にも「検挙率」というノルマ(あるいは計画目標)があり、時期がくるとそのノルマ達成の帳尻合わせに奔走するというのだ。
 
 企業活動だと前年売り上げをクリアすることが「達成率」という数字で表されるが、これが警察では「検挙率」という数字になって管理されている。これが前年度に比べて低下すると上司から文句がでる、という訳だ。

 で、この検挙率を「とりあえず」上げるための絶好の手段が「交通違反取り締まり」と「薬物犯取り締まり」なのだそうだ。

 交通違反切符を切られた方は身に覚えがあるだろうが、速度違反や右左折禁止など、わざと違反が起きやすい場所で待ち伏せされていることが多かったのではないか?

 薬物取り締まりも全く同様で、ようするに「違反者が多そうな場所を重点マークする」のが定石。渋谷の道玄坂界隈には「薬物の巣窟」であるクラブがひしめいているから、そのあたりで職質するだけで、まぬけなジャンキーが「ほいほい釣れ」て、楽な点数稼ぎになるという。

 だから、警察は大元の「巣窟」であるクラブを潰したりはしない。そんなことをしたら大事なお客様がいなくなってしまうからだ。警察が本気で覚醒剤犯を減らそうとするなら、毎日クラブなどに対して徹底的に抜き打ち検査をすれば良い。

 しかし、色々理由をつけてやらないのは、上記しているとおり警察の中での優先度が低いからであり、(これは絶対にそうは云わないが)楽な点数の稼ぎどころがなくなっては一大事だからだ。

 ということで、路上の職質は別に不思議でも何でもないし、いちいち一人一人をマークしている訳でもない。よく「どうして分かったんだろう?」という疑問がでるが、警官からすればジャンキーの挙動不審は(本人の自覚がないだけで)一発で簡単に分かるという

 本人はまっすぐ歩いているつもりでも蛇行していたりするし、一番確実なのは目を見ることだそうだ。当たり前といえば当たり前だが、後ろめたい気分と薬物摂取により明らかに視線を外したり、視線が宙を彷徨っていたりしておかしいという。まぁそりゃそうだ。

 高相容疑者は内定(監視)されていたかもしれないが、全くの偶然で職質にひっかかった可能性もあるのだ。思えばそれがのりぴーにとって最大の不幸の始まりとなった訳だが・・・