本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

足利事件:再審公判開始決定でパンドラの蓋が開く

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今日はその第2号の中身を掲載してみます。

 足利事件:再審公判開始決定でパンドラの蓋が開く
     
 足利事件の再審公判が10月21日に宇都宮地裁で開始されることが決定した。
3者協議の席上、審理を担当する佐藤裁判長は、弁護側が強く求めている証拠調べ(菅谷さんを有罪とした検察側の証拠)を
行うことを示唆した。また同時に、別の女児殺害事件の取り調べ時に行われていた録音テープについても「事件は別件だが、
本件に影響を及ぼしている可能性は否定出来ない」として開示要求を示唆。検察側が応じない場合は開示命令を出す可能性も示した、という。

 これはすごいことだ。通常冤罪が確定しているような事件での再審公判は、容疑者(厳密に言えば菅谷さんはまだ容疑者のままだ)に改めて無罪を宣告するためだけのセレモニー的なレベルに過ぎず、過去の例で云えば冤罪の原因まで遡及することは到底出来ていなかった。それは裁判所自体が真実の追究を放棄していたからであり、冤罪をかぶせられた人々は常に悔し涙に暮れてきた。ところが今回初めて、裁判所の態度に変化が生まれたのだ。

 この変化はなぜなのだろう?私はここにも、政権交代の影響を感じる政権交代を促した民意の高まりを、遂に司法も無視できなくなったのではないかと感じている。戦後長い間、誰がどう見ても理不尽な冤罪事件でも、自民政権の法務大臣は何の指導力も発揮せず司法官僚のなすがままになっていた。ひたすら前例を踏襲し、先輩に迷惑をかけないやり方を守ってきたのだが、遂にその歴史が途切れ、旧悪を暴くことが可能になってきたのだ。

 今回、特に注目したいのは取り調べ時の録音がどこまで明らかにされるか、だ。もちろん足利事件本体の証拠調べも重要だが、
検察側の抵抗で何がどの程度出来るかはまだ分からない。だが、録音テープを公開してしまえば、その取り調べ現場にいた人間の
誰と誰がどのような発言をしていたか、一発でわかってしまう。

もしその中に、菅谷さんが繰り返し述べているような脅しや暴力行使が記録されていれば、大変なスキャンダルに発展するだろう。

これはまさに警察・検察にとって絶対に開いてはならないパンドラの箱なのだ。この中には、きっと法廷ではとても聞くに堪えないような、恐ろしい取り調べの様子が眠っているに違いない。

 おそらく検察はあの手この手で抵抗するだろう。佐藤裁判長に対して、様々な筋から相当な圧力も予想される。
だが、これは裁判所側にとってもルビコン川に他ならない。国民に不人気の裁判員制度を導入し、「常識的な民意を裁判に取り入れる」と宣言した裁判所が、国民の怒りと失笑を買ったこの足利事件の真相究明を怠っては二枚舌の誹りを免れないであろう。
あらゆる抵抗をはねのけルビコン川を渡ってこそ、国民の信頼を得られる司法に生まれ変われるのだと思う。

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