本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

広島・長崎の五輪立候補をどう考えるか(2)


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 先日に引き続き広島・長崎の五輪招致の話題について。

前回も書いたが、私は理念には賛成する。しかし、残念ながら世の中は理念だけでは進まない。



 オバマ氏が実績がなく理念だけを語ってノーベル平和賞をもらったかのように報道されているが、無論そんなことはない。

 

 彼はアメリカという巨大軍産複合企業体が国家基盤を握っている国の指導者だ。その彼が、核廃絶を公の場で宣言するのは、自国の有力な産業体を解体してでもチャレンジすると云うことであり、かの国の隠れた権力者たちとのかつてない緊張関係をもたらすに違いない。



 それこそ暗殺による命の危険もあり、かつての日本の首相が舌先三寸で云ってきたような話ではなく、理念を語るだけでも命を削るような話なのだ。だからこそノーベル賞委員会はその宣言を高く評価した。



 ニュースで宮崎県知事が「ええ?だってあの人まだ何もしてないでしょ?」と批判していたが、それこそアメリカという国の機構、国際政治の複雑さを理解していない愚か者の発言だと思う。



 私が憂うのは、そんなオバマ氏の上辺だけを見て、「理想を高くかかげればなんとかなる」という発想が今回の五輪招致の裏にあるのではないかということ。まさしくナイーブなことこの上ない。



 日本が国際交渉下手というのは、もはや太平洋戦争以前に遡って連綿と続いてきた事実だ。国際連盟での満州国承認失敗から脱退、アメリカとの和平交渉失敗から戦争突入。近年ではクエート解放戦争で巨額の戦費を負担したのに全く感謝されなかった例もある。全くお寒いばかりで、東京の招致失敗が最新の事例になってしまった。



 五輪が気高い理想の祭典などでないことは、あのグロテスクに巨大化して商業化した内容を見れば明らかだ。



 コカコーラはじめ巨大スポンサーがとアメリカの三大テレビが開催時期を牛耳っているため、10月開催を主張したカタールは、「初のアフリカ大陸開催」を旗印にしたが最終選考にも残らなかったではないか。こと五輪に関しては、商業主義が理念を軽〜く凌駕している



 理想を掲げ、更に緻密な戦略を描いているのならまだ良い。しかし、「五輪は一都市での開催」というIOCの大原則さえ「核廃絶という理念で」乗り越えられると考えているのなら、現時点では理想と云うよりも幼稚な夢程度にしか見えないが、どうだろうか。



 更にその財政基盤の脆弱さをどう補うか。少なく見積もっても数十億から100億単位の招致活動資金は、世界各国の立候補都市と闘うのにどうしても必要だ。アジア大会実施程度で市の財政が傾いた広島市にそんな金があるはずがない。



 おまけに昨日、広島県知事が「事前に何の相談もなかった」と報道陣に憤慨する始末。相談しても無理だと考えたのかも知れないが、先ずは足元の県庁さえ説得できずにどうやってIOCの魑魅魍魎達を説得しようと思っているのか、どうにも両市長の思考回路が理解できない。



 今回の招致立候補話は、日本の子供達の夢を膨らませたかも知れないが、ただの思いつきで早々に撤収にでもなれば、

今度はその夢を安易に踏みにじる結果になりかねない。行政府の長ともなれば、そうはならないよう、そのあたりの責任も感じて頂きたいのだが・・