本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

大阪個室ビデオ火災事件で死刑を求刑

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(最新号は、大阪個室ビデオ公判詳報を扱っています)



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 何回か取り上げてきた大阪個室ビデオ火災事件で本日、論告求刑公判が行われ、検察側は「16人が死亡した結果は極めて重大」と述べ、死刑を求刑した。犠牲者の数からすればこの求刑は容易に予想できた。
 
 求刑の前に犠牲者5人の遺族が意見陳述し、被告の極刑を求めている。遺族の立場からすれば、被告とされた人間に極刑を望むのは理解できる。

 おおかたのニュースやニュースサイトでは予想通り死刑求刑の報道しかなかったが、MSN産経ニュースは期待通り、弁護側最終弁論を報じている。少し長いが転載しよう。http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091015/trl0910152018019-n1.htm

(転載ここから) 
公訴事実について

 被告は放火行為は行っていない。18号室でたばこを吸い、うとうとして眠りこんだ。被告はたばこの不始末が火災の原因であれば、生じた結果について責任を取る覚悟を持っている。

 しかし、本件は失火ではなく、放火の責任を問うもの。検察官もたばこの不始末では火災は発生しないと主張・立証している。

火元は18号室ではない疑い

 18号室を火元とする客観的証拠はない。一番激しく燃えているのは9号室で、炎の立ち上がり痕跡があり、天井が崩落している。天井崩落は、9号室の燃焼開始が18号室より早いと考えないと矛盾する。発見者がいないのは、天井裏から燃えていたとも考えられる。

府警科捜研職員の証言の信用性

 職員は、公判では焼け跡から炎の流れを推測して火元を特定する手法で18号室としたが、公判前は焼損状況の激しさを基準に18号室としていた。専門職でありながら、火元を18号室とする捜査方針に迎合的というほかなく、信用できない。

客や店員の証言の信用性

 第一発見者は、9号室の客であるとうその供述をしていた。9号室は一番焼損が激しく火元と考えられ、9号室の使用者が犯人の可能性がある。第一発見者と9号室の客は友達で、犯人グループの可能性もある。

 店員らは、被告が放火したことにすれば自らが消火活動や救護活動を怠ったことの責任転嫁を図れる関係にあり、被告の放火を肯定する供述に信用性はない。

動機と殺意

 被告は生きるのが嫌という気持ちはあったが自殺する状況にない。部屋の狭さや共同トイレでの出来事を動機とするのは無理がある。被告は延焼の危険性、客の状況、避難の難易、一酸化炭素中毒による死亡の可能性を認識しておらず、他の客を巻き込んでまで自殺する理由は考えられない。

自白の信用性・任意性
 自白調書は多いが、被告人しか知り得ない秘密の暴露は供述されていない。刑事や検事の指示や示唆に沿うもので事実ではない。自白は当初の警察官による偽計・威迫による影響が払拭(ふっしょく)されておらず、任意性に疑いがあるものとして証拠排除されるべきである。
(転載ここまで)

 
 また、別の報道では、被告は最終意見陳述でも「本当に火をつけてません」と繰り返し無罪を主張し、涙声で「遺族の言葉は聞いててつらかった。でも、つけていたなら今すぐでも認めます」と語り、傍聴席の遺族に深々と一礼した、とある。

 私は被告のこの言葉に正直さを感じた。同様の発言を公判中もしており、ただ死刑を逃れたいだけの恐怖心から犯行を否認しているのではないものを感じるのだ。また、弁護側最終弁論が語るように、

・本当に火元が(被告のいた)18号室なのか
・第一発見者が嘘をついていた
・自白の信憑性(否認している録画もある)

 といういくつもの問題点があるのと、いままでのこの被告の発言記録から感じられる小心者ぶりが、あのような大胆で凄惨な事件を本当に巻き起こすことが出来るのか、という疑問となって何か引っかかるのだ。

 判決は12月2日に行われるが、裁判所では既に検察側調書を証拠採用しているので、求刑通りの判決になる可能性が高い。しかし自供も絶対的証拠もないまま、死刑判決を出すのだろうか。大阪地裁が「疑わしきは罰せず」とするのかどうか、判決を注視したい。