本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

前原国交相の発言は正論だ

 前原大臣が羽田を国際ハブ空港化すると語ったことに対し、橋本知事(大阪)や森田知事(千葉)らが噛みついているが、第三者からみれば前原大臣の発言にはなんら問題ないように思える。



 まず関西空港との関係だが、日本にはまだハブ空港といえるレベルが存在しないのだから、発着数と利用者が一番多い羽田を優先整備するのは当然。前原氏は小学生でもわかる理屈を言ったに過ぎない。



 そもそも日本程度の国土面積の中でハブ空港が二つも必要なのか、という計算が国交省には既にあるのだろう。橋本知事はそれを百も招致で割り込もうとしたのかも知れないが、彼がまずやるべきことは、あの狭い地域にひしめく伊丹・大阪・関空の統廃合であり、それによって関空の集客力を高めてからこの交渉を行うのが物の順序と云うべきだろう。



そして成田。いろいろな意見があるが、これは残念ながらサンクコスト埋没費用)なんだろうな、と思う。サンクコストとは、それまでに投資したなかで一切戻ってこない費用のことを指すが、これまで国・県・地権者たちが成田にかけてきたカネと汗と涙は、もはや時代の趨勢に流されて回収出来ないものになったのではないか。



 成田は何といっても都心から遠い。そして空港利用税が高く、更に3千メートル級の滑走路が一本もない。これらは全て国(自民党)と旧運輸省の無策の犠牲になった結果であり、地元には全く責任がないのだが、だからといってその歴史を背景に何でもごり押しできる時代もまた、終わったのだ。



 国際線を都心至近の羽田におかずに成田に固定しておく経済的・合理的理由は存在しない。残念ながら成田はその存在の歴史性のみにてかろうじて存在しているあだ花だ。まるで沖縄の米軍基地のようなもので、もとは迷惑施設だが、我慢して一緒にやって来た県民がいつしか経済的利益を受けるようになっているから、今さら縮小は厭だという。

 気持ちは分かるが、そんなことを聞いていたらいつまで経っても日本にはハブ空港など出来はしない。いつか誰かが決断すべきだったことであり、それを前原氏が言ってのけたに過ぎない。



 もちろん、彼もいきなり成田の国際線を羽田に移すとは云っていない。しかし、利用者の利便性国際競争力を勘案すれば、とるべき戦略は明らかだ。前原氏のこれからの施策に期待したい。