本間 龍のブログ

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これは事件だ!足利事件 森川元検事、遂に法廷で証人尋問へ

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 これは革命的な出来事だ。足利事件で無実の菅谷さんを裁いた森川元検事が証人尋問されることが決定した。





(以下毎日新聞

足利事件:再審第2回公判 テープ証拠採用 地裁法廷ですべて再生へ>



 栃木県足利市で90年、4歳女児が殺害された「足利事件」で無期懲役判決を受け、6月に釈放された菅家利和さん(63)の再審第2回公判は24日午後も宇都宮地裁審理が続いた。佐藤正信裁判長は、菅家さんを取り調べた森川大司(だいじ)・元宇都宮地検検事の証人採用と取り調べ内容を録音したテープのうち、足利事件に関する4本の証拠採用を決めた。来年1月21日と22日午前に法廷でテープをすべて再生し、同日午後から森川元検事の証人尋問をする。判決期日は来年3月26日と指定した。



 地裁は冤罪(えんざい)の構図解明に向け、さらに踏み込んだといえる。



 テープは、宇都宮地裁初公判が始まる直前の92年1月28日と2月7日に録音された2本と、菅家さんが法廷で否認に転じる直前の同年12月7、8両日の2本。すべて森川元検事が取り調べた。【吉村周平、安高晋】

(引用ここまで)





 正直、私はこの宇都宮地裁の突進?に驚いている。裁判所が検事を裁く(実際に法的責任を追及するわけではないが)という、今まで絶対に有り得なかったことが起きているのだ。



 上記の通り、検察が公開を拒み続けた菅谷さんの尋問テープを証拠採用することを決定、更に悪名高き森川元検事までが証人尋問されることになった。地裁がここまで踏み込んでくるとは殆どのマスコミも予想していなかっただろうし、森川氏に至ってはまさに青天の霹靂であろう。ほぼ「身内」と思っていた裁判所に見放されるとは、万に一つも考えていなかったのではないか。



 これがどれくらい重い事態か解説しよう。

まず、テープを証拠採用という部分だが、裁判所での「証拠採用」というのは「証拠としての価値があるもの」として裁判所側が認めたということ。検察側の「これは別件の録音テープだから足利事件と関係ない」という主張は完全に否定された訳だ。当然ながら証拠能力が認められれば、通常の裁判では判決に大きな影響力を持つ。



 さらに担当検事を証人尋問に呼ぶと言うこと。検事を証人として法廷に呼んだ例は他にもあるが、冤罪事件を引き起こした当事者として呼び出された例は過去にないのではないか。つまりこれは、今後冤罪事件を審理する場合に先例となっていく可能性を示しており、検察内部でも相当の衝撃をもって受け止められているはずだ。



 しかも、今回は記憶を元にした「言った、言わない」という曖昧供述ではなく、取調べ時の録音テープが目の前で再生され、その内容に沿って弁護団から質問されるのだから下手な言い逃れは出来ない。森川氏はそんな録音が裁判所で公開されるとは夢にも思っていなかっただろうから、菅谷さんに対して相当な罵詈雑言を浴びせていると考えられ、かなり苦しい立場になるだろう。



 しかし残念ながら、この法廷は菅谷さんの潔白を証明する場なので、森川氏がそこで何をどう主張しても彼自身が裁かれる訳ではない。道義的なプレッシャーは相当なものになるだろうが、具体的な責任をとらされることはないのだ。



 さらにいえば、この冤罪事件を17年間も長引かせることになった当時の裁判官たちはこの裁判にも呼ばれず、全く安穏としたままだ。検察としては、自分たちばかりが批判の矢面に立たされてさぞ不愉快だろうから、いっそ今度は彼らが当時の裁判官達を訴追してはどうだろうか(もちろんそれをするには菅谷さんが裁判官達を告訴することが必要だが)。



 長い間三権分立とは名ばかりで、裁判所と検察は馴れ合ってきた。だからこそ起訴されたら有罪率9割という先進国ではありえない状況が続いてきたのだ。検察の書いた調書をただ判決文に書き写すような、それを仕事だと錯覚しているヒラメ裁判官が増殖し、山のような冤罪事件を作り出してきた責任は万死に値する。菅谷さんの再審請求を無視し続けた裁判官の責任も絶対うやむやにしてはならない。



今回宇都宮地裁は長い間の癒着を断ち切る英断を見せた。この潮流が他の冤罪事件にも広がっていくことを切に願う。


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