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本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

大阪個室ビデオ店放火事件で死刑判決

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 何回かメルマガで取り上げていたのだが、大阪個室ビデオ放火事件裁判で本日死刑判決が出た。



 様々なニュースサイトを読んだが、この事件の公判内容については産経のニュースサイトが非常に詳しい。今日のニュースもそこから転載してみよう。



(転載ここから)

裁判長から「死刑」を告げられた男は目を潤ませ、痛恨の表情で法廷を後にした。2日、大阪地裁で開かれた大阪市浪速区の個室ビデオ店放火殺人事件の判決公判。無罪を確信していたという小川和弘被告(48)は、自らの主張をことごとく退ける判決理由を聞きながら何度も首をかしげ、不満を表した。一方、傍聴席の遺族らは小川被告の態度に「謝罪の声を聞きたかった」と改めて悔しさをにじませた。



 午後2時半、小川被告は黒の上着に灰色のズボン、マスク姿でゆっくりと入廷し、裁判長の方に向かって何度も深々と頭を下げた。証言台の前に立つと指先を伸ばして姿勢を正した。



 「主文は最後に言い渡します」。裁判長にそう告げられた小川被告は指示に従って弁護人の前の席に着席。ざわめく傍聴席を一目見た後、判決理由の朗読を待った。



 その直後、裁判長が「裁判所はいずれも有罪と認定します」と述べると、マスクを付けたままの小川被告は瞬きを繰り返した。判決理由の朗読に入ってからは背筋を伸ばして聞き入ったが、主張が退けられる度に首をかしげ、後ろの弁護人に同意を求めるように何度も振り返った。



 主文を言い渡された瞬間は微動だにせず、裁判長に小さく頭を下げた。弁護人が「控訴するよ」と告げると無言でうなずき、退廷の際は目を潤ませながら顔をしかめてうつむいた。



小川被告は事件直後、動機や経緯を詳細に語ったが、その後否認に転じた。公判でも「火を付けていない。調子に乗って自供した。後悔している」と訴えた。被告人質問では時折笑いながら冗舌に語る一方、事件の核心部分はあいまいな説明に終始し、遺族からは「あまりにも幼稚」と非難の声が上がっていた。



 閉廷後、小川被告の弁護人は大阪市内で会見し「死刑という結論ありきの判決としか思えず、到底承服できない。動機や事実を認定するにあたり、弁護人の疑問に全然答えていない」と批判した。1日に小川被告と接見したといい、死刑もあり得ると伝えたが、「本人は死刑になるはずがなく無罪で出られると考えており、現実感を持って真剣に受け止めている感じではなかった」と明かした。

(転載ここまで)



 この公判記録を通じて明らかなのは、被告のかなりいい加減な性格、それ故刑事や検事に追及されてしまうと瞬間的にその状況から逃れるために嘘や出任せを言ってしまう、状況に迎合してしまう性格だ。こういう人は確かにいる。



 しかし被告にギャンブルキャバクラでの浪費癖があったとか、最初の自白を翻した後の説明もいい加減だという点だけでは、放火をしたという証拠にはならない。



 また、彼は公判の中で「(火を付けたとされる)キャリーバッグを部屋に持ち込んでいない」と放火を否認。ただ、失火の可能性は否定せず、「たばこの火で死刑になるんなら死刑でいい。自分の火で亡くなっているなら責任はある」などと述べている。



 つまり、放火は認めていないが失火の可能性は否定しておらず、その責任はあると言っているのだ。自分の息子のためにも、「放火」は絶対にしていないと主張している。



 検察の「人生が厭になり、自暴自棄になって他人を道連れにしようと火をつけた」という主張がどうにも説得力がない。このひ弱でいい加減な性格の男が、それまで一度も行ったことがなかった個室ビデオ店で、いきなり放火して、しかも他人を巻き込んでまで死のうなどと思うだろうか?



 「死刑になってもいいから」「自分も死にたかったから」という理由で人を殺した犯罪は、一見計画性がなく刹那的に見えるが、実は凶器を準備したり、犯罪を起こす場所を事前に決めたりする特徴がある。



 あの秋葉原事件も、事前に凶器を購入し、秋葉原が最も人が集まりやすいという犯人なりの考察の結果、あの時間・あの場所で事件が起こったのだ。



 それに対し、この事件での被告は個室ビデオに行くまで知人の男性と行動を共にしており、自殺するようなそぶりも見せておらず、それが個室に入った途端逆上して火をつけた、というのは人間心理を無視した、どうにもお粗末な作文に聞こえてしまうのだ。



 そもそもいくら真夜中で皆眠り込んでいたとはいえ、火事によって16人もの死者が出るとは防火管理がいい加減すぎる。失火元が被告なのかどうかは別にして、この店の管理責任者も業務上過失致死罪懲役刑に値するのではないかと感じるのは私だけではあるまい。



 繰り返すが、被告は放火を否定しているのであって、失火の可能性の責任はあると認めているのだ。これは被告が全てを否定する裁判とは明らかに異なるし、弁護側は失火元も被告の部屋ではないという主張を展開している。ここはもう少し慎重な審理が必要だと思う。



 弁護側は控訴の方針だが、その能力にも多少疑問符がつく。控訴審で争うには火元の専門家による再検証、被告の正式な精神鑑定、さらに被告の供述の変遷をもっと緻密に論証すべきだ。今までの主張をただ繰り返すだけでは、この判決は覆らないと思う。