本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

取り調べの可視化をされて困るのは誰か?

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(最新号は、押尾再逮捕の記事を扱っています)




 昨日、警察や検察の取り調べ全面録画の速やかな実現など、可視化を求める鹿児島県弁護士会が6日、12人の被告全員が無罪となった県議選をめぐる公選法違反事件(志布志事件)の舞台となった同県志布志市市民集会を開いた。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091206-OYT1T00852.htm


 会場には足利事件の菅谷さんや氷見事件の柳原さんらも出席し、取り調べの可視化を実現させないと冤罪は無くならないと訴えた。



 以前も書いたが、経験者の一人として(私の場合残念ながら冤罪ではないが)全面可視化は必須だと思う。現状は完全なブラックボックスだから、取調室に入れられてしまえば警察のなすがまま、やりたい放題だからだ。



 最終的に警察が捏造した調書にサインしないという抵抗手段はあるにはあるが、暴力をふるわれたり眠らせないなどの脅迫まがいのことをされればその気力も失せるのは十分理解できる。



 もはやこの流れは奔流のようなうねりになっているが、この期に及んで警察や検察幹部は全面可視化に執拗に抵抗している。その主たる言い分が「被疑者との信頼関係が築けない、被疑者のプライバシーや安全が守れない」というものだが、もう完全な噴飯もの、バカも休み休み云え、という類のものだ。



 この言い分は特に暴力団組員を主とする対組織暴力の取り調べを念頭に置いているが、その発想たるやあまりにも自己中心的・古すぎて唖然とせざるを得ない。



 そもそも「被疑者との信頼関係」が大事というのなら、何故これだけ全国各地で冤罪事件が発生するのか。信頼関係があるのなら冤罪など起こるはずがないではないか。前提を隠して議論をすり替えてもらっては困る。



 さらに被疑者の安全やプライバシーは、公判前手続きの場で弁護側と調整すれば十分守れる。全面可視化だからといって取り調べを全て法廷で流さなければならない訳ではないのだ。



 そもそも警察側が守りたいのは被疑者ではなくて身内だろう。だが実は裁判所も全面可視化など受け入れたくはないのだ。そんなものが出てきたら、今までは検察の調書をタダ写し判決を書けばよかったのに、そうはいかない場面が出てきてしまうからだ。



 更に、今まで多くの精神障害者を警察・検察・裁判所とあうんの呼吸でム所送りにしてきた「手抜き国選弁護人」たちも裏では苦り切っているに違いない。



 取り調べできちんと発言できない人々がさも自供したように書かれた調書を、早く公判を終わらせたい国選弁護人たちがスルーで通すことも全面可視化が実現すれば難しくなってくる。一審は誤魔化せても、万一再審になって弁護士が変われば、手抜きがばれてしまうからだ。



 実は、全面可視化は警察と検察だけを糺すのではない。同時に裁判所と弁護士にも厳しい課題を突きつけることになるのだ。マスコミはその点にもきちんと触れるべきだと思う。

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