本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

黒羽刑務所の大晦日

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 前回は黒羽のクリスマスについて書いたが、今日は大晦日の過ごし方について。

 刑務所の就寝というのは日本全国77ヶ所全てで21時と決まっており、余程のことがないかぎりこれ以降になることはない。

 私の黒羽滞在中一度だけの例外が平成19年12月17日。この日の晩は、サッカークラブ杯選手権で、浦和レッズとACミランの試合中継があったのだが、通常どんなスポーツ中継でも21時になると必ず打ち切られていたのが、なぜかこの時だけ試合終了の21時半まで見ることが出来た。お陰で受刑者は皆大喜び、許可を出した所長の株がいきなり上昇したのだった。

 翌日オヤジに理由を聞いても「え、そんなことがあったの?俺知らなかったなぁ」なんてとぼけられてしまったが、一見厳格に見える規則も責任者の意識でどうにでもなるという良い例だった。

 さて肝心の大晦日。この日は受刑者にとってまさに一年を通して最良の日といえよう。数日前から冬季休みに入っており、僅かだが菓子とジュースが配られており、いつ食べても良いのでなんとなく開放感がある。また、夕食後にカップ麺(どん兵衛)も配られ、年越し気分を味わうことも出来る。もちろんアルコールは全くでないが・・・

 そしてなんといってもお楽しみは夜、紅白を終了まで見て、除夜の鐘を聴きながら深夜0時までテレビを見ることが出来ること。もちろんチャンネルは紅白しかみられないようになっているので裏番組のK1やガキつかは見られないが、それでも少しづつ菓子を食いながら紅白を見て、娑婆と同様に年の瀬を感じられるのは非常に嬉しいことなのだ。

 刑務所の部屋というのは通風口や監視用の窓があるため密閉性が殆どなく、テレビの音声は完全に廊下に筒抜け、部屋のテレビの音なのか廊下からの音なのか分からなくなるほどだ。

 そして皆ここぞとばかりボリュームをあげ、画面に向かって応援したり手を叩いたりするので、いつも21時以降物音ひとつしない舎房が、この夜だけはとんでもなくうるさい。こういう時だけは雑居の方がわきあいあいとして楽しいかも知れない。刑務官も心得ていて、この日ばかりはボリュームを下げろなどと野暮は言わないのだ。

 そして紅白が終わり、舎房にいつものような静寂が訪れて新しい年を迎える。この時ばかりは、全ての受刑者が新しい年の過ごし方に思いを馳せる。今年は出所だ、あと2年だ、3年だ、と考えることは皆それぞれだが、ひょっとすると一年を通じて受刑者が一番神妙になる夜なのかも知れない。


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