平成２１年の刑法犯は平成１４年度に比べ半減！？犯罪は減っている！（２）

　昨年からまぐまぐの有料メルマガ（http://www.mag2.com/）の配信を始めてみました。（上記リンクから「本間龍のメルマガ」とインプットして頂ければ専用画面に飛びます）
原則として毎週月・木配信ですが、大きな事件や裁判のニュースがあればその都度配信します。内容は多少重複するところもでますが、今後こちらの日記の方は刑務所関連の資料的な役割を大きくし、メルマガで時事的なニュースを扱っていくように役割分担していく予定です。最初の一ヶ月は無料ですので、とりあえず内容を吟味いただいて、面白くなければ解約頂けます。
料金は一ヶ月５００円（税込み５２５円）ですので、併せてお読み頂ければ幸いです。

ここ数年確実に犯罪は減っているのに、マスコミの過剰報道のせいで国民の警戒感は異常に上昇していると以前（１１月１１日）にも書いたが、本日それを裏付けるニュースが報道された。

＜殺人事件、戦後最少＞

http://www3.nhk.or.jp/news/k10014990791000.html#

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100115/crm1001150501006-n1.htm

（以下NHKニュースより）

去年１年間に全国で発生した殺人事件は１０９７件で、前の年よりも２００件減り、戦後最も少なくなりました。

　警察庁によりますと、去年１年間に全国で発生した刑法犯罪の件数はおよそ
１７０万３０００件で、前の年よりも６パーセント減り、７年連続の減少となりました。このうち殺人事件の件数は１０９７件で、前の年よりも
２００件、１５パーセント減りました。

　これは最も多かった昭和２９年の３０８１件に比べるとおよそ３分ので、戦後最も少なくなっています。また、振り込め詐欺などの詐欺が前の年に比べて２９パーセント減ったほか、女性への乱暴が１１パーセント、放火が８パーセント、それぞれ減りました。一方で、強盗事件は５パーセント増え、特にコンビニエンスストアを狙った事件は８９６件と、統計を取り始めた平成１６年以降で最も多くなりました。

　警察庁は、凶悪犯罪全体としては減っているものの、景気の低迷の影響で身近な場所に押し入って金品を奪う事件が増えているとして、防犯対策を強化することにしています。

（引用ここまで）

　本日付の朝日新聞には、

『全体の８割近くをを占め、体感治安に影響を与えるとされる窃盗が、5.3%減の約129万件と２８年ぶりに１２０万件台となった』
という記事もあった。

　記事中最も注目してもらいたいのが、７年連続で刑法犯が減少しているという事実と、殺人事件に至っては戦後最も少なくなったという点だ。これはまさに、現在の国民が抱いている体感治安とま逆の結果になってはいないか。

　コンビニ強盗犯が増えたなどというのは、マンションが増加して防犯能力が上がった分、２４時間扉を開けているコンビニに泥棒がシフトしたに過ぎず、ちょっと考えればわかることだ。それでも全体数は大幅に減少している。

　ではこの７年間に刑法犯はどれだけ減ったのか？

認知件数のピークは平成１４年の３６９万件(平成２０年度犯罪白書より）。昨年が約１７０万件ということは、なんとピーク時に比べ半減しているのだ！これは本当にすごいことなのに、マスコミはどこもそういう報道をしていない。

　更に、殺人事件のピークは１９５０年代だが、このころは年間発生件数が平均約３０００件であった。警察の捜査能力や当時の世相から考えて通報されないものは今よりも桁違いだったろうから、実際はこれよりも多かったに違いない。それと比べれば、昨年の１０９７件という数字は、ピーク時の実に三分の一に減っているのだ。

　以上読んで頂ければ分かるとおり、確実に犯罪は減っている。しかも劇的に、といっていいほどだ。それなのに危機感を煽り立てて自らの組織拡大を目指す警察、視聴率のために刺激的な事件ばかりを追い求めるマスコミのせいで、国民は逆の印象を植え付けられている。

　哀れ煽られまくった国民は警戒感ばかりを募らせ、アホな要塞マンションを建てたり、監視ばかりで意味のない電車内の防犯カメラにも無反応になる。厳罰主義ばかりが昂進し、出所者には再生の道などない。過剰反応の行き着く先は限りなく息苦しい管理社会だ。だから、犯罪は減少しているのに自殺者は毎年増加していく。

　それにしてもこのニュース、民放では殆ど取り上げられなかった。犯罪が減少しているなどというのはニュース価値がないということなのか。それとも日頃の自分たちの報道と矛盾していることがバレるのを恐れたか。せめてNHKには、このニュースを元に特集を組んで欲しいよなぁ。

　