本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

足利事件再審 取調べテープ再生、森川検事の執拗さに吐き気を催す

 今日は朝から、私のメルマガ訪問数がいつもの三倍くらいある。足利事件における再審で、菅谷さんの尋問テープが宇都宮地裁で再生されたからだ。

 昨年11月25日のメルマガで、森川元検事が結構罵詈雑言を浴びせているのではないかと書いたが、よくよく考えてみれば証拠に残る録音をしているのにそのようなことをするはずもなく、また、気弱な態度に終始する菅谷さんに声を荒げる必要もなく、森川元検事は非常にソフトな言い回しであった。



 だが、語り口はソフトとはいえ、そのロジックは極めて緻密、言い逃れに苦しむ者の首を真綿で絞めるがごとくの執拗さである。またまた産経のニュースサイトに詳しいが、とにかく菅谷さんが嘆き苦しみながらなんとか無実を訴えようとしても、僅かな言葉尻を捉えて結局は自白に持っていこうとする。



http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100121/trl1001211312004-n1.htm



 詳しくは上記サイトからお読み頂きたいが、経験者からいえばその情景が眼前に浮かび上がるようであり、菅谷さん自身が途中退席してしまったのも無理はないと感じた。以下抜粋。



《すすり泣きを続ける菅家さん。検事の追及は厳しく、そして、「足利事件」にも言及が及ぶ》



森川検事「(長谷部)有美ちゃんの事件(別の女児殺害事件)は違うと言うんでしょう。最初に捕まったときの(松田)真美ちゃんの

事件(足利事件)はその通りなの?」



菅家さん「…」



森川検事「間違いない?それは」



菅家さん「…」



森川検事「あのね。ずるい気持ちを起こさないでほしい」



菅家さん「はい」



森川検事「僕は、君からどんな返事を聞かれようが、驚くつもりはないし、別に怒るつもりもないし」



菅家さん「はい」



森川検事「真美ちゃん事件はどうなの? 有美ちゃん事件は違うの?」



菅家さん「…」

森川検事「本当のことを知りたいと思っているわけだよ。君からどんな答えが出てこようが、怒るつもりはまったくないし、驚きもしないよ。有美ちゃんの事件は違う? 君はやってないの? やったのか、やってないのか。有美ちゃんのほう」



菅家さん「…」



森川検事「本当のことを知りたいと言ってるだけで、今まで話した通りに話をしろと言ってるわけじゃない。今まで話したことが

正しいのであれば、その通り話してもらえればいいし。今まで話したことが事実と違っていると言うなら違うと言ってくれて構わないんだし」



菅家さん「はい」



森川検事「有美ちゃんの事件は、君がやったの?やってないの? 本当のところはどうなの」



菅家さん「やってません」



森川検事「で、もう1回聞くけど、真美ちゃんの事件はやったの?」



菅家さん「…」



森川検事「そしたらね、有美ちゃんの事件ね。やってないのに、やったと警察で話したのはなぜなんだろう」



 《ここまでテープが再生されたとき、突如、菅家さんは手を挙げて体調がすぐれないと申し出た。菅家さんは足早に退廷し、別室で休憩。約20分後に再開された》



 《取り調べは引き続き検事の執拗(しつよう)な追及が続いている》



菅家さん「すみません」



森川検事「うん」



菅家さん「ごめんなさい」



森川検事「どうしたんだ」



菅家さん「…」



森川検事「本当はやったのか君? うん、うん」



菅家さん「うー」



森川検事「本当は君がやったのか? 有美ちゃんの事件も」



菅家さん「(泣き声)」



森川検事「やっぱりそう。有美ちゃんの事件やったの? そうだね」



菅家さん「(泣き声)」

(抜粋ここまで)





 明らかに菅谷さんは「やってません」と言っているのに、手をかえ品を変えて執拗に誘導しようとしている。



 どう答えていいかわからない菅谷さんが泣き出したところを、「やったことを自覚しているから」泣いているんだと無理に解釈している様子がありありと伝わってくる。



 以前にも書いたが、菅谷さんは精神薄弱境界域にある人で、内向的、他人の誘導に乗せられ易い傾向がある。検事は当然それを十二分に知った上で、何度も執拗に同じ質問を繰り返し、検事が納得できないのは菅谷さんの説明努力や能力が足りないからだ、と追いつめていくのだ。



 もうすでに何ヶ月も勾留され、何を言っても信用してもらえない。毎日何時間もパイプイスに座らされて尋問を受け、疲れ切って部屋に戻っても風呂に入れるわけでもなく、冷め切ったまずい弁当があるだけ。



 誰に相談することもできず、冷たい煎餅布団にくるまって寝ても全く疲れがとれないが、朝になればまた検事の前に引き出される。これではどんな人間でもおかしくなってしまう。民放に登場した心理学者は、「あのやり方でやられたら、どんな人でもおかしくなる」と語っていた。

 



 菅谷さんの経験に比べれば、私が体験した光景など芥子粒ほどのものでしかないが、それでも彼の絶望をリアルに想像することは出来、正直非常に辛くなった。



 以上のやりとりが公開された跡でも、検察は「これを聞けば供述任意性がはっきりする」と言っているが、鉄面皮以外のなにものでもない。そういう精神構造だからこそ、数知れない冤罪を生んできたのだ。



 明日は森川元検事の証人尋問。どうみても自らの非を認めるとは思えないが、これだけの国民注視の中、どのような発言をするか注視したい。


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