本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

やはり来た、埼京線監視カメラ増設ー次は全車両設置だ


 


 埼京線監視カメラの導入を初めて僅か3ヶ月だが、早速増設に踏み出した。私は昨年12月30日のブログでそうなると予想していたが、まさかこんなに早くやってくるとはちょっと想像を超えていた。

http://d.hatena.ne.jp/gvstav/20091230/1262182831



 以下、いくつかのニュースサイトから。



スポニチhttp://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20100406-614680.html



JR東日本は5日、痴漢防止のため昨年末から2月にかけて埼京線の2列車に導入した防犯カメラ付き列車を6月以降順次増やし、全32列車の1号車に設置すると発表した。



 同社は「痴漢防止に有効と確認できた」としているが、乗客からは「プライバシーの侵害だ」「気持ちが悪い」といった批判の声もあるという。



 32列車は埼京線全線(大宮−大崎)と川越線の一部区間(大宮−川越)で運行する。



 また東京臨海高速鉄道も、埼京線に乗り入れているりんかい線(大崎−新木場)の8列車への導入を決めた。



 防犯カメラは、各列車の1号車の運転台付近に4台ずつ設置する。



 警視庁によると、防犯カメラ設置以降の今年1月と2月は、埼京線内の痴漢被害は15件。昨年同時期は38件で、半分以下に減ったとしており、同庁は「確実に効果が出ている」と話している。(共同)





朝日新聞http://www.asahi.com/national/update/0405/TKY201004050285.html



JR東日本と東京臨海高速鉄道は5日、埼京線(大宮―大崎)を走る全40編成に、痴漢防止目的の車内防犯カメラを設置すると発表した。今年末までに設置を終え、常時撮影するという。



 埼京線首都圏で痴漢被害が最も多いとされ、昨年12月から2編成で、客室内に防犯カメラを全国で初めて試験導入。効果を検証していた。両社は「警視庁から『カメラによる抑止効果が出ている』との結果を聞き、拡大を決めた」としている。



 カメラは最も混雑し、被害が多かった1号車(大宮側)の天井に4台設置して撮影。捜査機関から要請があった場合だけ提供するという。



 JR東は3月、首都圏の利用者(15歳以上)を対象に車内防犯カメラ設置の賛否を問う調査を実施。回答者1032人のうち、賛成89%、反対11%だった。理由として、賛成は「痴漢の抑止効果がある」(80%)、「痴漢以外の犯罪も防げる」(77%)、反対は「プライバシー侵害」(75%)、「効果に疑問」(49%)が上位を占めた。



 警視庁によると、埼京線では今年に入り痴漢被害が大きく改善。このうち1〜2月の強制わいせつ事件は3分の1に減ったという。(小林誠一、峯俊一平)





読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100405-OYT1T01111.htm



防犯カメラで痴漢半減、埼京線が全列車設置へ

 痴漢防止のためJR埼京線の一部車両に試験的に設置された防犯カメラについて、JR東日本は5日、一定の効果があったとして、同線を走る他の列車30本すべてに設置を拡大すると発表した。





 直通運転がある東京臨海高速鉄道りんかい線にも設置される。



 JR東は昨年12月以降、埼京線の列車2本(各10両編成)の車両1両ずつに計6台のカメラを設置した。他の列車については、今年6月から順次、上り線最後尾となる車両1両ずつの天井にカメラ4台を取り付ける。



 警視庁によると、昨年都内で届け出のあった電車内での痴漢被害は、同線が全路線で最多の173件(月平均約14・4件)だったが、今年1、2月は計15件(月平均7・5件)とほぼ半減した。また、JR東が先月、15〜69歳の鉄道利用者(男女)を対象に調査したところ、1032人のうち、電車内へのカメラ設置への賛成が89%。「プライバシーが侵害されるか」との問いには62%が否定した。



(2010年4月5日21時57分 読売新聞)





 いやはや、こうも早く増設してくるとは。

「警視庁から『カメラによる抑止効果が出ている』との結果を聞き、拡大を決めた」などというJRに自主性は皆無。警察の言いなり状態で今後どんどんカメラを増やしていくだろう。



 そもそもJRが行ったとするアンケートだが、なぜ埼京線利用者にしないで直接関係ない人々が多い「首都圏」なのか。埼京線を利用しない人々からすれば、「別に自分は乗らないからいいんじゃない」という意見が多数になるにきまっているではないか。朝日は「首都圏の利用者」と伝えているが、読売に至っては「鉄道利用者」としか書いておらず、

まるで埼京線利用者の意見のように見えてしまう。巧妙な誘導としか思えない記事だ。



 さらに、痴漢被害が半減したというのは、設置した車両で減ったのか、全線で減ったのかという具体的な発表もない。「効果があった」とするならば、設置した1号車で過去のデータに比較して減少したのかどうか発表すべきだが、記事では「埼京線全線で半減」としか書かれていない。これでは1号車での具体的効果が分からない。また、1号車で痴漢が発生した際、それが犯人逮捕に繋がったかどうかも分からない。(発表がないということはそうした事例がないのだろう)



 ようするにデータというのは利用する側の意志でいかようにも解釈できる。このように「痴漢が半減した」というデータが確立されると、次は「ではそれを更に減少させるには」ということになり、次は全車両にカメラを設置してみよう、ということになっていくのだ。



 そもそも、「半減した」「効果があった」のになぜ全編成に拡大する必要があるのか。「半減したから全編成に拡大」→「さらに減ったから痴漢ゼロを目標に全車両に設置」という地ならしではないか。



 カメラが設置される1号車は階段付近に停車するため特に混雑がひどいらしい。それなら毎朝その車両を男性専用車両にしてしまえばいいではないか。



 他ブログで読んだが、埼京線は階段付近が異様に狭く、また他線との連絡も劣悪、電車本数も少なすぎるという三重苦状態で、そのような劣悪状況を改善せず、カメラの設置で全てを利用者の責任にかぶせようとするJRに責任はないのだろうか?



 早晩、1号車だけでなく埼京線全線にカメラ設置が広まるだろう。それでもなお利用者から何の反発もあがらないとしたら、それはもはや家畜に等しい。



 家畜は自らを運ぶ貨車に監視カメラがあろうとなかろうと無頓着だが、埼京線利用者は人間である。その気もないのに犯罪予備軍として監視され、記録されることになんの疑問も感じなくなれば、それは動物と同じであろう。私ならば即訴訟を起こして闘う。





全車両導入となった時に利用者がどういう反応を示すのか、これは他の公共交通機関利用者にも極めて重大な試金石になるだろう。


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