本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

笑ってしまう法務省可視化勉強会の欺瞞

いやはや、法務省というところはホントに取り調べの可視化をやる気がない所なんだなァ、という記事が18日に載っていた。以下産経msnからの記事。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100618/trl1006181231001-n1.htm


&affid「全事件は困難」 法務省の「可視化」勉強会



2010.6.18 12:29



 取り調べの全過程を録音・録画する「可視化」の在り方を検討している法務省政務三役らの勉強会は18日、「全事件の可視化は非現実的」などと、対象事件を限定すべきだとする中間報告をまとめ、公表した。法務省では独自に研究会を立ち上げている中井洽国家公安委員長と協議した上で、来年6月以降に最終報告を出す方針。



 公表された中間報告によると、全事件を対象にする課題として、検察庁が受理する刑事事件交通違反も含めて年約200万件に上ることなどを挙げ、「全事件可視化の必要性は疑わしく、現実性にも欠ける」と結論付けた。



 取り調べの全過程を可視化する是非は示さなかった。ただ、(1)報復の恐れや羞恥(しゆうち)心から被疑者が真実の供述をためらう(2)供述が記録に残るので不利益な真実を述べるハードルが高くなる(3)調書の作成を前提としない情報の獲得が困難になる(4)取調官が萎縮(いしゆく)する−などの課題を列挙。「範囲の検討が必要」と指摘した。



 容疑者が取調官に迎合して虚偽自白をするケースについて、「自白の信用性を検討する手段として有用」「供述が真実かのような印象を与える」との意見を挙げて、検討課題とした。



 今後、海外に検事を派遣しての事例調査や、捜査経験者からのヒアリングを経て、来年6月以降に勉強会としての最終的な取りまとめを行う方針(引用ここまで)





 「勉強会」などというと聞こえはいいが、構成員は法務省政務三役など検察の代弁者のみで、足利事件をはじめ数々の冤罪事件があれだけ明るみに出ても、全くなんの反省も感じられないのだから恐れ入る。



 文中の「課題」について不肖、取調べ経験者の私が答えてみよう。





(1)報復の恐れや羞恥(しゆうち)心から被疑者が真実の供述をためらう?



 答え:報復については、暴力団関係者などにはそうした例があるかもしれないが、そうしたシーンは法廷で放映しなければいいだけのこと。逮捕された人間が「羞恥心?」(意味不明)で供述をためらうことなどありえない。だって、すでに逮捕されているのだから、何に対して羞恥心を感じるというのだ?むしろ映像がのこれば、取調べ側が無理な誘導をしなくなるという「安心感」の方が遙かに大きくなるといえる。





(2)供述が記録に残るので不利益な真実を述べるハードルが高くなる?



 答え:はァ?可視化されようがしまいが供述は残るのだから、全く意味不明。しかも、自己に不利益な事は述べなくても良い、と裁判冒頭でも言われるように、黙秘権は認められた重要な権利だ。映像記録があろうがあるまいが、供述できる内容に差などない。





(3)調書の作成を前提としない情報の獲得が困難になる?



 答え:全く意味不明。被疑者(被告)にとって最も大事なのが調書であって、その調書作成の際に冤罪が発生しているのだから、「調書作成を前提としない情報獲得」など全く関係なし。





(4)取調官が萎縮(いしゆく)する?



 答え:一番笑ったのがこれ。一体何に萎縮するというのか?滅茶苦茶な調書を作っているのがバレるから萎縮する、というのならその通り。その結果仕事が丁寧になるのなら大変結構ではないか





 という訳で、上記の「課題」と称するものはいずれも意味不明の言いがかりのようなものであることがお分かりいただけると思う。



 私の経験では、警察官が作る調書は誘導性が強く、言ってもいない言葉を密かに勝手に継ぎ足すことがかなり多いと感じた。私はそれらを逐一改めさせ、もめた時には「じゃあ、サインしませんけどいいんですか?」とごねて非常に嫌がられたが、プレッシャーに負けて、やってもいないことを作文されてしまう人びとも多い。だから冤罪が生まれるのだ。



 件数が多いなど、なんのいい訳にもならない。韓国もフランスも、先進国の多くはすでにやっているのだから、日本ができないという道理はない。何もしない千葉法相のクビをすげ替えてでも、可視化はすぐに実施すべきだ。 



 それにしても「捜査経験者からのヒアリング」とは誰のことなのだろう?結局捜査側の人間だけからヒアリングしてお茶を濁そうというのなら、そんな会の提言など何の価値もないことは言うまでもあるまい。


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