本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

刑場公開は死刑廃止論議の土台となるか?

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 本日27日、史上初めて東京拘置所内にある死刑場が報道陣に公開された。各紙が大きく報道しているが、中でも産経は相当細かくやっていて、以下の感想にも共感できるものがあったので転載したい。


【刑場公開】視点・死刑を考える契機に 
<無機的な現場も身につまされた>(産経新聞
2010.8.27 11:18

 死刑制度について国民的議論を呼びかける千葉景子法相の指示で27日、東京拘置所の刑場が公開された。刑場の一部には立ち入りが許されなかったことなど、完全な公開とはいえないものだったが、これまで厚いベールの奥にあった「死刑」について、情報公開が進んだことは評価できる。

 千葉法相は先月、2人の死刑囚に対する死刑執行命令書にサインした上で、執行にも立ち会った。法相が死刑廃止論者だったこと、そして、就任から約10カ月間執行しなかったにもかかわらず、参院選で落選した後というタイミングで執行されたことには、分かりにくさも残った。

 ただ、今回の公開で、死刑囚の首にかけられる絞縄(こうじょう)もなく、踏み板も開かない、極めて無機的な刑場を見ただけでも、身につまされる思いがした。これを考え合わせると、実際の執行に立ち会うという決断自体が、相当重いものだったことは、想像に難くない。死刑囚の死を確認するスペースへの立ち入りが許可されなかったことも、そこが厳粛な空間であることを考えれば、納得もできる。

 世論調査では死刑制度を容認する声が85%以上と高水準にある。そして、法に明確に規定されている以上、執行命令書へのサインは法相の責務であり、執行も粛々と行われるべきだ。

 しかし、これまで死刑という刑罰について、どこか思考停止していた面はなかったか。死刑囚、被害者や遺族、執行のボタンを押す刑務官らの思いを斟酌(しんしゃく)することはあっただろうか。
 裁判員裁判のもと、国民が究極の刑罰の選択を迫られる日はそう遠くない。死刑への賛否はさておき、今回の刑場公開が、死刑について思いをめぐらせる契機になることが期待される。(酒井潤)
(文中赤字は筆者)

 
 最初に私の立場を述べておくと、私は死刑廃止論者である。その理由を書き出すと本が一冊書けてしまうので省略するが、人を殺したからそいつは死刑だ、という原始的な処罰思考は前時代的で、とてもではないが与することは出来ない。この点については今後も折に触れて説明していきたい。

 今回公開された写真の中で最も強く印象に残ったのは、執行室と壁1枚を隔てた部屋にある3つの執行ボタンだ。このボタンを押すことによって被告は落下し首のロープがしまるのだが、3名が同時に押し、しかも誰が押したか分らなようになっているのは、それを押す刑務官の精神的負担を軽減するためだという。

 しかし、いざ執行の時を迎えると、当たり前だが多くの死刑囚が取り乱すので、刑務官が羽交い締めにして首にロープをかけるそうだ。その際、執行に参加するのは日頃その死刑囚達の世話を担当する刑務官であるため、彼らの精神的負担も甚大である。中にはそれがトラウマになって職を辞した人もいるらしい。

 国民の85%が死刑制度を支持していると言うが、彼らの殆どは死刑執行の瞬間を想像したことなどあるまい。死刑囚とはいえ、中には反省し毎日被害者の冥福を祈っている者もいるのに、ある朝突然その首に縄をかけて殺さなくてはならない刑務官達の心情はいかばかりか。

 産経記事の赤字の部分にある通り、死刑に賛成する者は、残虐な悪人=死刑以外にないとしか考えず、しかもその死刑実行に自分は全く関与しないことで何の精神的負担も感じない、まさしく思考医停止状態の人が多いのではないか。

 アメリカの幾つかの州では、死刑執行時に関係者を参加させ、執行の一部始終を目撃させる。そこまで徹底的に制度を公開して初めて、浮ついた気分だけに拠らない死刑制度存廃論議が可能になるのではないか。

 今回は天井からロープがぶら下がっていない状態での公開で、更に執行室の下の部屋も「死刑囚の生命が絶たれる厳粛な場所で、家族や刑務官の心情も考慮した」(法務省)として、立ち入り対象から除外された。そう、死刑囚にも命の尊厳があることを、執行する法務省でさえ認めている。単純な懲罰感情で実行できる程、死刑は簡単ではないのだ。

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