本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

やはりやっていた!大阪地検、知的障害者に誘導尋問

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以前からこのブログでも指摘していた、知的障害者に対する検察の誘導尋問が遂に(しかもまたあの大阪地検で)明るみに出た。以下、毎日新聞より。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110120-00000038-mai-soci

<自白調書>知的障害者を誘導 大阪地検検事

 大阪地検が放火事件で、知的障害がある男性(29)の起訴を取り消した問題で、地検堺支部の男性検事(41)=当時=が「自白調書」の一部について誘導して確認していた場面が、約30分間にわたりDVDに録画されていたことが分かった。男性は物事をうまく表現できないという。郵便不正事件でも問題になった調書作成の在り方が問われそうだ。【久保聡、村松洋】

 事件関係者によると堺支部が取り調べの様子を録画したDVDには男性が検事の言葉をおうむ返しにするなど事件の状況を把握していない様子なのに、検事が調書の内容に沿うよう誘導する場面も記録されていたという。

 男性の弁護人、荒井俊英弁護士によると、既に調書が作成された後の確認作業、いわゆる読み聞かせの場面が録画されていた。

 男性にプリントアウトされた調書が渡され、男性検事がパソコン画面を見ながら内容を確認するやり取りが続くという。

 男性が「その日は遊びに行った」と話すと、検事は「それだけではなく、人の家に入っただろ」と、供述内容を訂正。さらに、火が広がった状況についても、男性は「見ていない」と答えたにもかかわらず、検事は「見たでいいんだな」と繰り返し質問し、最終的に男性が「見た」と答えているという。

 放火事件は裁判員裁判の対象で、供述の任意性を立証するため取り調べの様子を撮影、録画していた。

 男性は09年12月11日午前3時50分ごろ、大阪府貝塚市の長屋住宅の一室に無施錠の玄関から侵入し、ライターで放火。部屋の一部を焼損させたとして、10年1月に府警貝塚署に逮捕され、地検堺支部が現住建造物等放火罪などで起訴した。

 しかし、公判前整理手続きで男性が否認に転じたため補充捜査を行った結果、堺支部は同年11月、「自白の信用性を立証し、有罪判決を得ることは著しく困難との結論に至った」として起訴を取り消し、勾留していた男性を釈放した。

 大阪地検の大島忠郁(ただふみ)次席検事は20日、「(取り調べに)誘導があったとはいえず、(知的障害者という)配慮が足りなかったということ。捜査に違法性はなく、DVDが起訴取り消しの決め手になったわけではない」と説明しており、検事を処分していない。


 拙著「名もなき受刑者たちへ」にも書いたが、私は黒羽刑務所で類似の例に遭遇した。

本人は軽度の知的障害で、非常に優しい青年だった。なぜここに来てしまったのか、と尋ねたところ、本人に自覚があるのは万引きだけだが、取調べ時に泥棒(住居不法侵入)もしただろう、と刑事に強く言われ、認めてしまったのだという。「刑事さんからそういわれたから」と本人は笑っていたが、それがなければ実刑にはならなかったかも知れず、笑い事では全くない。刑事と検事は人に迎合しやすく、強く言われれば抵抗出来ない彼の障害を利用し、未解決案件を彼にかぶせてしまったのに違いない、と私は感じていた。他にも似たような話をする数人に出会った。

 上記の記事にあるとおり、知的障害を持つ人の尋問は非常に難しく、簡単に誘導出来るのだ。そしてこの事件は本当に氷山の一角で、日本全国で一体どれくらいの冤罪が大量生産されているのか想像もつかない。この事件はたまたま弁護人が熱心でDVDを調べたから明るみに出たが、国選弁護人も面倒くさがって検事調書がそのまま通ることの方が殆どなのだ。

このような事件を防ぐには、いくら検察が抵抗しようと、やはり取り調べの全面可視化、録画化しかないと切に思う。

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