読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

「電通と原発報道」発売します。

電通と原発報道――巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ

電通と原発報道――巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ

 またまたしばらく更新をさぼってしまった。ここのところ執筆作業が色々あって、このブログ更新まで手が廻らなくなっていたが、いよいよ来週19日、「電通原発報道」が発売となるのでお知らせしたい。

 今回の東京電力福島第一原発の事故の責任は、第一に東京電力にあるのは明白だ。第二の責任は、緊急対応計画を策定していなかった政府にあるが、これは民主党だけを攻めるのは酷である。むしろ、戦後40年以上も国策として原発を推進してきた自民党にこそ、より大きな責任があると言わねばならない。

 そして、ここまで原子力ムラの好き勝手にやらせてしまった責任は実は他にもある、というのが本書の題目だ。東電を初めとする各地の電力界会社からカネをもらい、「原発はクリーンで安全です」などと詐欺まがいの広告を量産してきたのは誰か。原子力村の走狗となって反原発派の意見をメディアから駆逐していたのは誰か。「広告」という手段で「原発安全神話」を演出していたのは誰か。そしてそれはどのような方法で行われていたのか。それを明らかにしたのが本書である。

 実は、少しでもこの業界で仕事をした人には、本書の記述は「そんなこと、あたりめーじゃん」というレベルの内容である。しかし、広告業界及びマスコミで禄をはんでいる方々は、その世界から干されることが嫌で、その「当たり前のこと」がなかなか口に出せず、従って今まで類書は殆ど存在してこなかった。

 しかし、なぜメディアが原子力ムラの圧力に萎縮していたか、そのメカニズムを知らなければ、日本はまたいつの間にか連中の思い通りにされてしまう。だから私は、広告業界以外で働く多くの人々に向けて、この本を書いた。また、私は10数年前から「原子力資料情報室」の会員だったので、以前から原発には危機感をもっていた。そんな背景も本書を書こうと思った要因である。

 ところで、本書の発売が明らかになった6月5日、博報堂の広報室長寺島二郎氏より出版元の亜紀書房に2度電話があり、出版前に本をチェックさせて欲しい旨の要請があった。曰く、

1.『電通原発報道』が出版されるということを亜紀書房ホームページで見たが、著者の本間さんとは退職時に「在職中に知り得た、博報堂の機密を漏洩して会社に損害を与えることはしない」という旨の守秘義務の念書を交わしている。本書で情報漏洩しているということはないか。
2.もし、具体的なクライアントの情報やメディアとの関係性を書かれるなどして、会社やクライアントに何らかの損害があった場合は、法的手段も検討する。
3.発売前に本の内容を知ることはできないか。
4.電通東京電力もこの件に関しては情報収集をしている。

 資本関係もない出版社に対し、電話1本で発売前の本を見せろ、などと要請する傲慢さには驚愕するしかないが、私は「転落の記」発売時にも抗議してきた同氏に対し、

・確かに守秘義務は交わしたが、退社後5年以上が経過し、もはや効力はないと考えている。博報堂は「守秘義務」が何年間有効と考えているのか、明示して欲しい。
・情報漏洩とは何を指すのか、または「会社の機密」とは具体的に何を指すのか明示して欲しい

 旨の文書を送ったが、回答はなかった。

 今回の著作に関しては、同社とクライアントの損害になるようなことは一切書かれていない。しかし、「広告代理店」と大手クライアント、大手メディアの関係性については、読者に分るように丁寧に解説してある。それを「機密の漏洩」だなどと判断する者は一人もいないだろうが、もしそう考えてそれを阻もうとするならば、それは自由な発言への挑戦であると考えるし、徹底的に闘う用意がある。

 それにしても、亜紀書房では「電通から電話がくるならまだしも、なぜ博報堂から?」と笑いのネタになっている。自ら体を運ぶこともせず、電話一本で何でも解決できると思っているのなら、それこそ大手広告代理店の増上慢ですよ、寺島さん。