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本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

兵庫県小野市の「福祉給付制度適正化条例案」は平成の特高だ

兵庫県小野市が恐ろしい条例案を提出してきた。以下、朝日新聞記事から。http://www.asahi.com/national/update/0227/OSK201302270030.html?tr=pc

【広川始】生活保護児童扶養手当の受給者がパチンコやギャンブルで浪費しているのを見つけた市民に通報を義務づける条例案を、兵庫県小野市が27日、市議会に提案した。市は「不正受給防止のための、全国的にも例のない取り組み」という。市には「全国に広げるべきだ」「相互監視社会になる」と、賛否の声が寄せられている。

 名称は「市福祉給付制度適正化条例案」。受給者が給付されたお金を「遊技、遊興、賭博などに費消」することを防ぎ、「福祉制度の適正な運用と受給者の自立した生活支援に資すること」を目的に掲げる。

 パチンコや競輪、競馬などによる浪費により「生活の維持、安定向上に支障が生じる状況を常習的に引き起こしている」と認められたり、不正受給の疑いがあったりする場合、市へ情報提供することを「市民の責務」と明記した。保護が必要な人を見つけた場合も、通報を義務づけている。受給者に対しては勤労と節約を求めている。

 国は8月から生活保護について生活扶助の支給額を引き下げる方針。市には、給付額が絞られる中で受給者の自立支援を一層図らなくてはならない、という考えがある。蓬莱(ほうらい)務(つとむ)市長は27日の市議会で「福祉給付制度の信頼確保と受給者の自立した生活を支援することを目的とする。監視強化ではない」と説明した。

 
 いやあ、びっくりした。通報を「義務づける」のである。つまり、見つけたら必ず密告せよ、と言っているのだ。まるで旧社会主義国のようではないか。ではこの小野市というのは、それほどまで生活保護不正受給者が多いのか、と誰しも思うだろうが、ところがそうではない。そこは赤旗から引用しよう。

『市には2月28日までに、全国から88件の問い合わせがありました。松野和彦市民福祉部長は本紙の取材に「この間の報道にあるような『監視』や『差別』は想定外の反応です」と答えました。また、「市として実際にパチンコ等に頻繁に行く利用者は把握していない」としています』
http://ch.nicovideo.jp/akahata/blomaga/ar140647

 今まで市としては生活保護受給者がパチンコに行ったりするのを把握していないーというのだ。ではなぜ突然、こんな条例案が上程されたのか?そんな必要はないではないか。ところが実は、非常にくだらない理由があったのだ。ブログスに条例案がアップされているので読んでみると、次のようなくだりがあった。

(適正化協議会の設置)
第6条 市長は、第4条第1項及び第2項に規定する福祉制度の適正な運用を総合的かつ効果的に推進するため、小野市福祉給付制度適正化協議会(以下「適正化協議会」という。)を設置するものとする。
2 前項の適正化協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(推進員の設置)
第7条 市長hあ、小野市福祉給付制度適正化推進員(以下「推進員」という。)を置き、第5条第3項の規定による情報提供があった場合又はそれに相当する疑わしい事実があると自らが判断した場合は、その詳細な実態を推進員に調査させるものとする。
2 前項の推進員の調査活動は、犯罪捜査のための解してはならない。

 既に市役所の部局があるのに、なぜ「適正化協議会」や「適正化推進員」なる係を新設しなければならないのか?不正受給を糾すのは市役所の既設部署の仕事だ。それなのに、なぜ人件費をかけて新たな部署を設けようとしているのか?

 答えは至極簡単、これは小野市と兵庫県警察OBの為の天下り組織を新設しようとする企みなのだ。警察から要請されて天下り組織を作ろうとしたが、なかなか理由が作れない。そこで何か獲物がないかと見渡してみたら、生活保護不正受給問題があった。こいつをスケープゴートにすれば、すんなりいくに違いないーお気楽な市長はそう考えたのだろう。

 ところが田舎の市長と市議と警察が考えるほど、世の中は甘くない。こんな平成の特別高等警察造りがすんなり許されるはずもなく、大批判にさらされている。そりゃそうだ、市民に密告を奨励するなど、どうみてもありえない。

 かつてソ連や東ドイツなどの旧社会主義国は「大密告社会」だった。物言えば唇寒し、隣人や親戚、果ては親に対してさえ、本音を言えなかなった。いつの間に密告されて、いきなり逮捕されて銃殺、という例が日常茶飯事だったのだ。更に、「密告されたくなければカネを払え」という脅しが国中に蔓延していた。だから密告社会の到来は全力で防がなければならない。小野市市議会の面々は、そうした負の歴史をご存じないのだろうか。

あまりにもいい加減で、歴史を知らな過ぎる。小野市市議会にまともな判断能力があるのなら、このくだらない条例案を否決すべきだ。そうでなければ、日本中の笑いモノになるだろう。