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本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

職親プロジェクトについて思うこと

<取材やコメント、監修や講演等のご相談は ryu.homma62@gmail.com までお気軽にどうぞ>

              <最近の活動>
2012/12 大阪朝日新聞にコメントしました(衆院選挙の争点について)
2013/2/10 兵庫県リーガル・ソーシャルワーク研修にて講演しました
      講演テーマ「私が刑務所で出会った障碍者・高齢者
2013/3 東京新聞にコメントしました(オリンピック招致について)
3/11 阿佐ヶ谷ロフトで新刊発売記念対談{タブー×タブー×タブー」
      (慶応大学放射線科講師近藤誠氏、鈴木邦男氏)
3/14 三省堂神保町本店にて新刊発売記念対談「誰がタブーをつくるのか」
      (鈴木邦男氏)
3/23 神奈川県反核医師の会にて講演
      講演テーマ「第5の権力・広告代理店」 
3/28    毎日放送ちちんぷいぷい」インタビュー
      (ホリエモン氏の釈放を受けて)  

<最新ニュース>現在WOWOWにて放映中のドラマ「ソドムの林檎」http://www.wowow.co.jp/dramaw/sodom/ の拘置所ドラマ部分の監修をさせて頂きました。皆さん、是非見て下さい!


ちょっと古くなるが、2月の28日に以下のようなニュースが流れて、結構あちこちで取り上げられていた。今日はこの記事について。(以下朝日新聞より転載)


元受刑者らに職場提供へ協定 「千房」など関西企業7社
関西が拠点の民間企業7社と日本財団(東京)は28日、大阪市内で元受刑者らの就労支援策「職親(しょくしん)プロジェクト」の協定書を交わした。再犯を防ぐため企業が働く場を提供。生活面も指導し、社会復帰を支える。

 企業は刑務所や少年院で面接し、出所や出院と同時に約半年間の就労体験を提供。その間、正規雇用につながる指導をしていく。社員寮や更生保護施設などから通勤でき、職場での悩みも各社が定期的に情報交換する。まずは7社で17〜26人を採用し、5年間で計100人を雇う計画。財団は1人につき毎月支援金8万円を企業に支払う。

 罪を犯し、保護観察中の人(2002〜11年累計)が対象の法務省の調査では、職がある人の再犯率は7・4%で、職がない人の36・3%を大きく下回った。支援策の呼びかけ人で、お好み焼き「千房」の中井政嗣社長は「こつこつ信頼を積み重ね、人生のやり直しに励んでほしい。リスクはあるが、どこかがしなければあかん」と話す。

 7社は千房のほか、串かつ「だるま」の「一門会」▽焼き肉「但馬屋」の「牛心」▽和食専門店の「信濃路」▽建築会社「カンサイ建装工業」▽割烹(かっぽう)「湯木」の「プラス思考」▽美容室「プログレッシブ」(転載ここまで)


 出所者がまだ刑務所の中にいるうちに企業とのマッチングを行い、、出所してすぐに働ける場所を確保する。実に素晴らしい試みであり、参加する7社に対しては最大級の賛辞を送りたい。

ここ数年、犯罪発生率は劇的に減少しているのに、再犯率はジリジリと上昇している。その原因は明らかで、出所しても行く場所がなく、就労するアテがないから生きていく術がなく、万引きや無銭飲食などの軽犯罪を犯して再び刑務所に戻る者が増えているのだ。

私も経験したが、出所を明らかにしたらまず再就職は出来ない。ハローワークでは素姓を隠して面接を受けろというが、その場はうまく誤魔化せたとしても、入社後に真実がばれると、今度は会社側に「虚偽申告」であると訴えられる可能性がある。

 ましてや現在はネット社会であり、犯歴は半永久的にネット上に残る。そして誰でもそれを目にすることができる。いつ自分の素姓がバレるかと、びくびくしながら働いている出所者が非常に多いのだ。

だから、犯歴を承知で雇用してくれるのは大変ありがたい。しかし、実はこのニュースの裏には非常に大きな問題が潜んでいる。こういう取り組みが大ニュースになるということ自体が深刻な問題なのだ。

前述した再犯率がなぜ下がらないかというと、日本には一度犯罪を犯した者が再チャレンジできる仕組みがないからだ。年間約 1万5千人が出所するが、元々自営であったものを除いて、前科を明らかにすれば殆ど再就職口はない。その前に出所して住む場所さえないのだから、生きるか死ぬかの選択を強いられて、仕方なく軽微な罪で再びムショに戻る。出所後5年以内に再犯すると、どんなに軽微な罪でもほぼ実刑になる。

このような状況を延々と放置してきたのが国である。全国の更生保護施設が満杯にもかかわらず放置し、NPOや善意の人々の努力に任せきりにしてきた結果が再犯率43,8%の高止まりを招いた。このプロジェクトの方達も、国の無策を十二分に知っているからこそ立ち上がったに違いない。

 この取り組みは、日本財団の後援を得ている。つまりは企業と財団の熱意によって運営される訳だが、それでも毎年の出所者数からすれば、5年間で100人の雇用は焼け石に水というレベルだ。こうしたプロジェクトが全国で続々と立ち上がればいいが、残念ながらそのような機運はない。

 このような取り組みが全国に拡がるのを首を長くして待つか、それとも国による抜本的取り組みを望むか。私は、この問題は善意の企業や人に任せるだけでなく、国が主体的に取り組むべき重大案件だと思う。そうでなければ、再犯率はまだまだ上がっていくのではないか。

名もなき受刑者たちへ 「黒羽刑務所 16工場」体験記 (宝島SUGOI文庫)

名もなき受刑者たちへ 「黒羽刑務所 16工場」体験記 (宝島SUGOI文庫)










 23日の反核医師の会講演の続きを。