本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

全国就労支援事業者機構とは何か

 これまで書いてきた通り、日本には出所者に対する政策的な就労支援というものは存在しない。一応全国に約6千社の「協力雇用主」という、出所者を受け入れても良い、と自ら表明してくれている会社があるのだが、その殆どは中小または零細企業で、補助金等があるわけでもなく全くのボランティアである。当然ながらこの大不況でその雇用能力も減ってきている。
 再犯率の高まりを受けて、国もようやく重い腰をあげて「全国就労支援事業者機構」(準備室)なるNPOを作ろうと動き始めた。これは、

・出所者を雇用する企業に対する助成・顕彰援助
・協力雇用主情報等の情報の一元化
・研修会等の実施、ノウハウの蓄積
・出所の雇用に付いての全国的広報啓発活動、広報の実施

等の施策を行っていこうと経団連日本商工会議所全国商工会連合会が(一応)旗振り役となって進めており、各都道府県に
都道府県就労支援事業者機構」を設置しようとするもの。
 
 もちろんこうした団体はないよりはあった方が良いが、そのHPなどを見ると、云っちゃあなんだが、かけ声だけの何もしない集団、という感じが強い。会員を集めてどうだこうだと眠いことをいわずとも、経団連や商工会議所が本気でこの施策を推進するというのなら、能書きは良いからその構成メンバーたるトヨタ新日鐵三菱重工などの大企業が、積極的に出所者を受け入れればよい。そうすれば多くの企業が右へ習えをし、日本の再犯率は劇的に改善されるだろう。

 しかし残念なことに、この機構は今のところ「自分たちは何もしない広報団体」のようだ。理事には日本を代表する一流企業の社長会長(新日鐵トヨタ三菱東京UFJ銀行、第一生命、新日本石油住友商事東京電力等)が並んでいるが、そのかれらの会社自身が出所者を雇用することはないらしい。

 会員たる企業は会費を納めることによって、事業者(実際に出所者を雇用する会社)を援助する、とある。おいおい、またかよ。これだけ錚々たる企業が名を連ねて、「オレたちのところじゃあ死んでも嫌だけど、あんたの所でやってくれるならちょっぴり援助しましょうかい(金額不明)」ということなのだ。実に素晴らしい支援団体ではないか。

 イギリスなどの出先では出所者を雇っているトヨタは、何故自国の出所者を雇わないのか。儲からないことには手を出さない、これも世界に冠たる「カンバン方式」の一種なのだろうか。