本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

足利事件、公表テープ内容の裏にある情景とは?

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 一昨日自白否定の供述があったと報道されたばかりだが、昨夜その内容が明らかになり、いよいよ「検察の悪事」と「裁判官の怠慢」が白日の下にさらされようとしている。



 検察からテープそのものは公表しないでくれ、という要請の元にテープを回収した手前、今回のやりとりは記述のみ発表された。以下そのやりとりを転載する。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091009/trl0910090014000-n1.htm





「ずるいんじゃない」「勘弁してくださいよお」弁護団公表の取り調べとは…



平成4年12月7日



 検察官「今日は、これまで君がどう話してきたかではなく、本当のことを知りたい。楽な気持ちで話してもらいたい。本当にやっていないのなら、やっていないということで構わない」



 菅家さん「本当言うと」



 検察官「うん」



 菅家さん「いいですか」



 検察官「いいよ」



 菅家さん「やってません」



 検察官「やっていないの。(別の女児殺害事件事件2件の)どちらも。それとも片方だけ」



 菅家さん「どちらも」



 検察官「どちらも」



 菅家さん(涙ながらに)「はい(足利事件への関与も否定)。警察ではやりましたと話しました。だけどやっていないんです。本当です。本当今までうそをついてすみませんでした」 



同年12月8日



 検察官「君から変なことを聞いたので今日来た。DNA鑑定でね、君と、君の体液と一致する体液があるんだよ」



 菅家さん「全然それ、分かんないんですよ、本当に。絶対、違うんです」



 検察官「君と同じ体液を持ってる人が何人いると思ってんの



 菅家さん(沈黙)



 検察官「どうなんだい。ずるいんじゃないか。君、なんでぼくの目を見て言わないの、そういうこと。さっきから君は、僕の目をなんども見てないよ」



 菅家さん「ごめんなさい、すいません。ごめんなさい、勘弁してください。勘弁してくださいよお。勘弁してくださいよお。すいません」



 その後、菅家さんはあらためて、足利事件を“自白”した。

(転載ここまで)





 読んでいてもの凄く辛くなる。「君と同じ体液を持っている人が何人いると思ってんの」などと云われても当時DNA検査など一般人の知らない言葉であり、菅谷さんが否定できるはずもない。



 この部分を読んで、検事や刑事とのやりとりを経験されたことのない(もちろん大多数がそうだが)方にはこの圧迫感が伝わらないだろうが、それは紙に書かれたモノを数秒で読んでいるからであり実際にこのやりとりが数十分に渡っていることは想像しにくいだろうから、以下状況を解説したいと思う。



 このやりとりの間、検事は背もたれのついた革張りの椅子にどっかりと座り、茶など飲みながら、弱った獲物を凝視するような態度で悠々と構えている。



 既に足利事件で起訴され拘留中であるから、時間は取調べる側の味方である。自分が納得しなければ何時間でも尋問し、夕方になれば「じゃあ続きはまた明日」と家に帰ってビールでも飲んで風呂に入り、担当しているいくつもの事件の一つである今日の取り調べなど別に気にせず、暖かく柔らかい寝床で十分な睡眠を取れるのだ。

彼は弱った獲物が疲労して倒れるのを待っていればいい。あとは、いつ、どこで「効果的なダメ押し」を与えるかである。



 対する菅谷さんは、ひたすら冷たいパイプ椅子に座らされている。手はひざの上に置くことを強制され、足を組むことも出来ない。横には刑務官が座っていて無言の威圧を加えてくる。パイプ椅子は長時間座っていると尻が痛くなってくるが、立ち上がったりすることは許されない。



 長時間の尋問で疲れても、姿勢を変えたり楽にしたりすることは出来ない。恐らく水の一杯も出なかったろう。何度否定しても納得してもらえず、精神的な疲労も極限に達していたはずだ。



 疲れ切って拘置所の自室に帰っても、待っているのは冷め切った夕食だけだ。もちろん酒もたばこもなく、自身の無実を信じて応援してくれる人もいない。話す相手は誰もいないのだ。



 そして、長時間の取調べでこわばった体をほぐす風呂などあるはずもない。風呂は昼間の時間に設定されており、取り調べがある場合は省略されてしまうのだ。出来ることと云えば、疲れ切った体をせんべい布団に横たえて朝をむかえることだけだ。



 そしてまた翌朝から取調べが始まる。何度否定しても、検事は薄ら笑いを浮かべて信じない。この無限地獄のような日々を過ごした後にあの供述があることを、どれだけの人が理解できるだろうか?



 この部分を実際に聞くのは辛いが、これは絶対に再審の場で再生するべきだ。そして無実の人を極限まで追いつめていくその恐怖の過程を、出来るだけ多くの国民に伝えるべきだと衷心より願う。



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