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本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

保護観察つき執行猶予の増加はいかなる状況を生むか

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 今朝の朝日新聞に、裁判員制度が始まってから「保護観察付の執行猶予判決が増えてきた、という記事が載っていた。



 今までは問答無用で実刑判決になっていたような裁判で、更正に期待するという理由から保護観察をつけた状態での執行猶予を下す例が増加してきたというわけだ。



 この傾向自体は、職業裁判官達が今まで一顧だにしてこなかった被告の「判決後」まで想定している点で評価されていいだろう。そこには専門家でない人々の優しさを感じ取ることができる。



 ところがこの保護観察の増加傾向によって、新たな問題が生じ始めた。「保護観察」を実行する保護観察官保護司の絶対数不足、さらに権限不足がクローズアップされだしたのだ。



 保護観察は現在概ね以下の4種類に分かれるが、



1) 家庭裁判所において決定される、保護処分としての保護観察(いわゆる1号観察)

2) 少年院を仮退院した後、収容期間の満了日まで、または本退院までの期間受ける保護観察(2号観察)

3) 刑務所などの刑事施設仮釈放中に受ける保護観察(3号観察)

4)保護観察付きの刑執行猶予判決を受けた者が、執行猶予期間中に受ける保護観察(4号観察)



 その中で成人を扱う裁判で適用されるのは4号観察だ。その内容は相手によって若干幅があり、猶予期間中、例えば一週間に一回、保護観察官または保護司との面談を行う。そこで日々の暮らしぶりや問題点を相談することによって再犯の芽をつむことを目標にしている。7日以上の旅行は事前に届け出て許可を得なければならない。



 ところが、この保護観察官と保護司の人数がまず足りない。監察官は国家公務員だが保護司はボランティアで、しかも両者には裁判所の強制力などの実質的な権限は何もないから、猶予中の者が云うことを聞かなかったり、トンズラされてもどうすることもできない。


 性犯罪者以外への保護観察には厳格な仕組みが存在せず(そもそも現状の人数と権限では実行不可能)、実はその実行は相当な部分が現場の「努力」に任されているといっていいだろう。


 私も仮釈中に地元の保護司と面談したが、完全なボランティアで報酬ゼロなので、なり手がいなくて困っているという。それでも相手と電話連絡を取ったり、時間を割いて面談したりと結構手間暇がかかるのだ。


 実際に、横浜地裁で放火事件をおこし保護観察付執行猶予を受けた男が、判決直後に早速行方をくらますという事態が起きている。このような判決のうち約3割近くが保護観察に服さず、再犯しているというデータもある。


 保護観察付執行猶予が増加しても、それをきちんと実行できる人員と制度が未整備な現状では、結局は再犯を防げなかった甘い判決との批判が噴き出しかねず、元の厳罰実刑主義に戻る可能性がある。真に反省し更正を誓う被告には誠に有難いこの傾向も、現場の能力を超えているから実行できず、そのせいでまた実刑主義に戻るのでは意味がない。法務省は急いで保護観察体制の充実に力を注ぐべきだと思う。

 
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