本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

川内原発再稼働の元凶は九州電力である

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 昨日は鹿児島県知事の川内原発再稼働合意がニュースになっていたが、知事や議会が再稼動合意を急ぐのは、もちろん九州電力九電)から強い要請が出ているからに他ならない。

 知事や自民党系の議員は完全に九電のポチであるから、そのいいなりになって事を進めているに過ぎない。言うまでもないことだが、九電こそがもっとも批判されなければならない相手なのだ。(以下は日刊ゲンダイ記事)


日刊ゲンダイ|「川内原発」再稼働を急ぐ鹿児島県知事と九電の“蜜月関係”

 

 九電は電力会社の中でも原発依存度が高く、とにかく早く再稼動したくてしょうがない。しかも電力10社で最大の赤字を出している。(表は朝日新聞より)

福島の事故から4年近くも原発依存から脱却できず、ただひたすらその再稼働を待っているだけの愚鈍な企業体質が巨額赤字を作り出したのだが、全くその反省が見られないから始末が悪い。

写真・図版

   

 それにしてもこの会社、体質が悪すぎる。多くの人はもう忘れているかも知れないが、2011年には悪名高いヤラセメール事件を引き起こし、世論の集中砲火を浴びた。


九電「やらせメール」に見た昭和の日本 日本的経営を改めて考えてみた(19):JBpress(日本ビジネスプレス)

 
 
   で、原発依存度が高い会社ほど、原発広告への依存度も高かった。会社の規模は東電や関電、東北電力には及ばないものの、原発広告には熱心で、様々なシリーズを作っていたのでいくつか紹介しよう。
 九電川内原発だけでなく、佐賀の玄海原発も持っていて、こちらでも結構広告を打っていた。中でも特筆すべきは映画監督の大林宣彦監督を起用した原子力発電、ちゃんと知りたい。ちゃんと考えたい。」シリーズで、佐賀新聞で約1年間、13回にわたって掲載された。
 この「人間の顔が見える原子力発電であって欲しい」というコピーは恐らく大林氏の願いだろうが、今回の川内原発再稼働問題のどこに「人間の顔」があったろうか。そこにはむき出しの企業エゴと地域エゴしか見えなかったのではないか。

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                          1997年6月 佐賀新聞

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                          1997年12月 佐賀新聞

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                       2009年6月 南日本新聞

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                       2009年6月 南日本新聞

 
 また、2009年の広告では「くらしを支えるエネルギー・原子力に関する情報を、九州電力は積極的に公開します」などと言っているが、今回の問題では市民からの公開討論会や説明会実施の要望を無視し、ひたすら逃げ回っているだけだ。
  上記のように、もっと原発を知ってほしい、もっと説明させて欲しいと広告で繰り返していた企業が、今回は一方的な説明会を数回催しただけで、しかも川内市内以外では圧倒的に反対が多い、つまりは多くの利用者が反対しているのを無視して再稼動に突き進んでいる。これこそが九電という企業の正体なのだ。
 
  そこには自分たちさえ儲かれば、利用者の願いなどどうでもいいという究極の顧客蔑視思想が存在している。利用者は完全に馬鹿にされているのだ。無理もない、他に選択肢がない県民は、九電から電気を購入するしかないからだ。
 しかし、安全に対する切なる願いを無視された県民はその振る舞いをちゃんと見ているから、このしっぺ返しは必ず来る。  今後この会社がどのツラ下げた広告を出してくるか、実に見ものである。   
 
※上記の広告は拙著にも掲載しています
原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢

原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢