本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

「原発広告と同じような広告」とは何か?

 

  先日「原発広告」を推薦していただいた、一月万冊の清水さんが、今度は新著の方を取り上げてくださったので、感謝の気持ちを込めてこちらにアップします。

 

    何と有難いことに二回も続けてアップしていただいたのだが、その二度目の方で清水さんが非常に鋭い指摘をしておられる。

   「この原発広告と似た広告はないか、考えることがとても重要。原発事故が起きて原発広告は全部嘘だったことがバレたから良かったが、世の中には他にも似たようなもの(広告)があるのではないか?」

 

   仰る通り。もちろん、似たようなものは他にもたくさんある。私は「電通原発報道」からずっと書いているのだが、年間広告費を100億円以上使うような企業の広告目的は、実は表と裏の二通りがある。

 

  先ず表の目的は、当然ながらその企業のブランドイメージを高めることであり、自社製品の販促のためだ。絶えず購買層に向かって働きかけるのはブランドイメージ構築の基本であり、企業ブランドや商品名、商品イメージが悪くなったり薄くなったりすると、他社製品に置き換えられることになっていく。だからコンシュマー製品を扱っている企業は、ある一定額の広告費をかけ続けなければならない。これはまあ誰にでも分かる理屈だろう。

 

   問題なのは「裏の目的」の方で、これは多額の広告出稿でメディアの自粛を誘い、ネガティブ情報を流させないようにすることだ。 原発広告がその最たる例で、例えば東電の場合、関東ローカル企業にも関わらず、1989年から年間広告費が200億円を下回ったことが一度もなかった。例えば、ローカルで広告量が多いのは地方銀行だが、それでもせいぜい年間4〜5億円だ。それに比べれば、いかに異常な金額であるかすぐに分かる。

 

 ただしこの裏の目的は、最初からメディアの抱き込みを狙ってそうしているのではなく、巨額の広告費が結果的にメディア側の勝手な自粛を招いた結果である。例えば讀賣や朝日などの大手新聞社でも、特定の企業から年間10億、20億の広告出稿を受けていたりするすると、いきなりその企業のダメージになるようなスクープ記事は掲載されにくい。それが年間数十億円のパナソニックトヨタ都市銀行、生保などの超優良広告主となれば、なおさらである。つまり、相手が大きければ大きい程、メディア側の自主規制は強くなるのだ。だからメディアのニュースに触れる際は、そうしたフィルターがかかっていることを頭に置いて接しなければならない。

 

   そこで拙著「原発広告」シリーズは、簡単に言えば「メディア側の節操の無さと、自主規制の記録」という側面を持っている。大手新聞社や地方ローカル紙、大手週刊誌などがこぞって原発毒饅頭を食っていたことを包み隠さず掲載しているため、自らの汚点を隠したいメディアは決して書評欄などで取り上げようとはしない。さらにもう一つ、清水さんのような疑問を持つ読者が増えたら困るから、絶対に拙著を紹介したくないのだ。いやはや本当にケツの穴の小さい事よ。

 

       


原発広告と地方紙 本間龍さん著 感想 - YouTube

 


原発広告と地方紙 本間龍さんを読んで次の原発と同じような広告はないか考える - YouTube

 

原発広告と地方紙――原発立地県の報道姿勢

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