本間 龍のブログ

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布川事件再審決定、続々と明らかになる冤罪の構図


ちょっと遅くなってしまったが、15日の布川事件再審開始決定について。刑が確定してからの逆転再審請求が通るのは足利事件に告いで今年2例目という大変な年となったが、検察側はさぞ苦り切っているだろう。以下、ヤフーのニュース速報から引用。





布川事件の再審開始確定=「自白疑問」の高裁判断支持−無期、仮釈放の2人・最高裁



12月15日14時14分配信 時事通信

 茨城県利根町布川で1967年、男性=当時(62)=が殺害され、現金が奪われた「布川事件」で無期懲役が確定し、服役後に仮釈放された桜井昌司さん(62)と杉山卓男さん(63)の第2次再審請求特別抗告審で、最高裁第2小法廷竹内行夫裁判長)は14日付で、自白の信用性を疑問視して再審開始を認めた東京高裁の判断に「誤りはない」として、検察側の特別抗告を棄却する決定をした。2人の再審開始が決まった。



 無期懲役の確定事件での再審開始確定は、「足利事件」に続いて今年2例目。最高裁が再審開始を支持したことで、来年にも水戸地裁土浦支部で始まる再審では、無罪が言い渡される公算が大きくなった。



 事件では有力な物証がなく、確定判決は捜査段階の2人の自白と目撃証言を根拠に、有罪と認定していた。

 2005年9月、2人の再審開始を決定した同支部は、男性が首を絞められた後に、口に下着を詰め込まれた疑いがあるとした弁護側の鑑定書に信用性があると判断。「下着を口に押し込み、手で首を押さえた」との自白は、殺害方法や順序が遺体の状況と矛盾するとした。また、近隣住民が2人を見たとする目撃証言についても、事件とは別の日だった可能性を指摘した。

 

 東京高裁も08年7月、殺害方法などに関する同支部の判断を追認。現場の物色や逃走後の状況などに関する自白内容が変化したことについて、「実際に体験していないため、不自然な変遷を重ねた」と指摘した。

 さらに、桜井さんの自白が録音されたテープに編集された跡があったとする弁護側の鑑定結果を、「取調官の誘導があったことをうかがわせる」と判断し、自白の信用性を否定した。

(引用ここまで)



 それにしてもこの事件の発生は1967年、実に42年前だ。その事件の再審請求を未だにああだこうだとやっているこの不合理さの根源は、ひとえに検察庁の頑迷さと裁判所の判断の遅さにある。



 特に検察は、どうみても理不尽な特別抗告をして再審開始を遅らせるのは、再審すれば無罪判決が出て、またぞろ恥を晒すのを、一刻でも後ろにずらしたいからだ。これは恐らく、検察上層部が自分の在任期間中に不名誉な記録を残したくない、などというレベルの、極めて利己的で些末な理由によるものだろう。



 今回、検察側の特別抗告が退けられたといって喜べるものでは全くない。足利事件は刑期途中での釈放(それでも17年かかった)だったが、この2人は無期懲役を全う(29年!!)したあとの釈放である。当然、再審で無罪が確定すれば国家賠償で巨額の賠償請求がなされるだろう。それでも失われた日々は絶対に帰ってこない。



 無実の人間の自由を29年間も奪っておきながら、なお再審請求を妨害しようとして特別抗告をし、ひたすら責任逃れの時間稼ぎに狂奔する検察のあさましさにはハラワタが煮えくりかえる想いがする。



 真の問題は、42年前のこの冤罪と全く同じ構図、つまり曖昧な自供に過度に偏重した捜査が未だに行われていることだ。

 

 今年もまた、東金事件や大阪個室ビデオ放火事件など、今ひとつ真偽が定まらない重大事件があった。にもかかわらず大阪の事件は既に死刑判決まで出てしまっている。 



 このような事件を防ぐためには取り調べの全面可視化しかないし、さらには、冤罪を引き起こした関係者の責任を追及できる法システムを構築しなければ、悲劇は絶対に無くならない。今後も類似の事件の追及をしていきたい。

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反冤罪

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