本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

落ちない押尾、狙いは一事不再理か?


 


 ここのところ、9日に再逮捕された押尾君の情報が殆ど出てこない。こうした情報は殆どが警察・検察関係からのリークなので、それらがないということは、取調べに見るべき進展がないことを示している。


 以下のサイゾーの記事にもあるとおり、どうやら押尾君はのらりくらりと警察側の追求をかわし続けているようだ。

http://www.cyzo.com/2009/12/post_3458.html


 彼の再逮捕時にも書いたが、既に裁判で有罪判決を受けている彼が塀の中に落ちないためには、この逮捕で起訴されないか、されても裁判で無罪になるしか方法がない。


 起訴されないためには自供などせず、警察・検察側が「起訴しても公判を維持できない=裁判に負ける」と判断する必要があるが、大騒ぎのあげく再逮捕までしておいてそれはないだろうから、残るは裁判で勝つ、ということになる。


 あれから色々考えてみたが、押尾君が無罪を勝ち取る手段がもう一つあった。実は今回の逮捕は、厳密に言えば刑事訴訟法で禁止されている「一事不再理」の原則に抵触する可能性があるかも知れないのだ。



 「一事不再理」とは、刑事事件の裁判において、確定した判決がある場合にはその事件で再度審理をすることは許さないとする刑事訴訟法上の原則。これを禁止することによって、一つの訴因で何度も訴追される(重ねて罰を科せられる)危険性を排除しているのだ。



 先月の裁判で有罪となったのは麻薬取締法違反(使用)の罪。そして再逮捕は麻薬取締法違反(譲渡)容疑。もちろん本丸保護責任者遺棄容疑だが、こちらはまだ起訴できるかどうか分からない。もし出来なかったとすると、譲渡容疑での起訴になるだろうが、これは既に判決が出ている「使用」と全く同根。だから一事不再理に引っかかる可能性がある、という訳だ。



 もちろん使用と譲渡が同じ裁判で裁かれたのなら何ら問題は無かった。問題は彼の悪事の内容ではなく、純粋に法理論上の解釈に移ってしまうのだ。つまり、もし今回の起訴が麻薬取締法違反(譲渡)容疑だけに終わるとなると、押尾君の最も賢明な法廷闘争の方法は、その容疑の正否を争うのではなく(どうせ争っても心象的には真っ黒だ)、話を刑訴法解釈に思いっきりすり替えて、一事不再理の原則論で争う、というやり方の方が余程勝ち目が出てくる。(もし勝てば免訴ということになる)


 ピーチジョンの社長は押尾が頭脳明晰な点も高く買っていたという。逮捕後まったく落ちる気配がないのは、やはり弁護団と綿密な打ち合わせをしていて、既に闘争方針に自信があるからなのか。ひょっとすると押尾裁判の第二幕は、単なるどうでもいいタレントのクスリ事件から、憲法解釈を巡る希有な法廷闘争へと変貌するかも知れない。


 押尾君のために憲法学者や刑法の権威達が法廷に立ち彼を弁護することになるのか?それはそれで大変興味深いことになるだろう。まだまだこの事件から目が離せない。


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