エコナの安全性は確認されていない 真の問題は高濃度ジアシルグリセロールか?
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先日からエコナの販売中止騒動の報道がやけに少なすぎると指摘してきたが、本日ようやく朝日が重い腰をあげて書いている。(それでも漫画「オチビサン」の方が大きく見えるが)
内容は花王に揚げ足をとられまいと極めて慎重な言い回しになっているが、ようするに「グリシドール脂肪酸エステル」の「安全性が確認されていない」状況が発生しているのは間違いなく、さらに食品安全委員会専門委員の「体内で発ガン物質になるという証拠は現時点ではないが、蓋然性は高い」という発言を紹介している。
「蓋然性」とはまた鼻が詰まったような表現だが、ようするに「確率は高い」と云っているのだ。万事に慎重な専門委員がここまで云っているのだからまさに「クロに限りなく近いダークグレー」状態だということだ。それでも朝日は「花王は安全だと云っている」と相変わらずだらしない表記をしているが、恐らく様々な社内圧力の中での精一杯の抵抗なのだろう。あの記事を読んでも、やはりもはやエコナはつかえないという印象を抱く。
そもそも今回の販売中止を花王は「販売停止」と言っているが、停止した後同じ商品を売るのならともかく、現在の商品は全て回収し新たに製造した製品を出荷し直す(と現段階では云っている)のだから、「販売中止」という表現が正しい。大戦中、大本営が「撤退」と発表すべきところを「転進」としていたのと同じでどうにも歯切れがが悪い。
まぁ花王としては今回の販売中止が極めて心外だという立場を強調したいのだろうが、「安全性は確認されている」のに「販売は中止」という説明は消費者には分かりづらい。だから電話が殺到するのだ。
今回の騒動の顛末はGIGAZINE(http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090917_econa/#)サイトに非常に詳しく載っている。これによれば欧州では明らかに「グリシドール脂肪酸エステル」には安全性に問題があるとされ、きちんとした結果が出るまでは摂取を控えるべきだ、としている。
また、主婦連は6年前からエコナに高濃度ジアシルグリセロールが含まれていることを問題視し、遂に9月11日に厚生労働省に対しトクホ認可の取り消しまで要求する事態となり、花王側も無視し続けることが出来なくなったという訳だ。もしかすると、花王が真にやばいと思っているのはこの高濃度ジアシルグリセロールの方かも知れず、ふってわいたグリシドール脂肪酸エステルの問題は隠れ蓑の可能性もある。
花王も11年前の発売当初からこのグリシドール脂肪酸エステルが問題になると考えていた訳ではないだろう。しかし検査技術が進化するにつれ、危険性が明らかになる物質は増加していくのは仕方がないことだ。花王は「安全性に問題はないが販売は停止する」という言い方をやめ、「新しい検査方法により安全性に対する問題点が指摘されたので発売を中止する」というスタンスに切り替えた方が良い。その方が余程説得力があるというものだ。
私は広告代理店にいたので、こうした場合の危機管理マニュアルをよく知っている。情報の出所を一箇所に絞っているのは良いが、その第一原則である「責任能力があるもの(こういう場合は取締役クラス以上)がきちんと記者会見を行い、ニュースを発信していく」は守れていないように見える。ようするに花王のこの問題に対する誠実さが消費者には「見えない」のだ。花王はできるだけこの問題を矮小化したいのだろうが、年間200億円の商品の安全性が問題なのに、ペーパー発表だけで済むと思っているのなら相当認識が甘い。
また、NHKが実験用ラットがガンを発症したというニュースを流すとすぐに事実誤認を指摘するなど、異常な細心さでマスコミを監視しているのには笑ってしまった。だから民放などは怖くて黙っているのだが、「情報が少ない」から消費者は花王に直接電話をかけることになり、回線を十分用意していないからパンクして繋がらないから、更に怒りを買うという悪循環に陥っている。明らかに初動ミスだ。花王の危機管理は電通が担当しているはずだが、それにしてはお粗末すぎる。
今のところ大手マスコミで主婦連の動きを取り上げているところはないが、もはや時間の問題であろうし、そうなった場合「6年前から危険性を放置していた企業」というレッテルを貼られることで花王のブランドは致命的な打撃を受ける可能性がある。事実であればもちろん仕方がないが、新設された「消費者庁」の出番が早くもきたではないか。福島大臣殿の手腕が見物だ。