刑場取材制限 法務省の言訳は小学生並みの詭弁だ
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本日は大注目の押尾裁判初日とあって当ブログの閲覧数もうなぎ登りだが、それについては明日書くとして、今日は昨日の朝日新聞に載っていた、
「刑場取材 記者を限定 法務省、フリー・海外メディア排除」という記事について思うところを述べてみたい。
8月27日にわが国初の刑場取材が解禁されたのだが、これは法務省記者クラブに所属する大手報道機関21社のみに許可された為、海外メディアをはじめ許可されなかったフリージャーナリストらから怨嗟と抗議の声が上がっている。これに対する法務省側の言訳が結構おかしいのである。
法務省説明の一番大きな部分は、
「東京拘置所は起訴前の容疑者や未決勾留を収容する施設であり、裁判所への出頭や警察署での取り調べのために、所内を移動させられる事が多い。
彼らのプライバシー保護のためには、刑場取材の間、身柄の移動をストップする必要があった。しかし長くストップさせれば、業務に支障が出る。ぎりぎり許せる時間が午前9時半から11時までの間だった。だから取材は一度で済ませる必要があったし、そう度々公開するわけにも行かない」
いやあ、これを読んで思わず笑ってしまった。プライバシー保護というのは法務省が必ず使う錦の御旗だが、東拘内に一度でも収監された者が聞けば、こんな説明は小学生並みの嘘だとすぐにわかるからだ。
まず、東拘内の90%を占める未決囚で裁判に出頭する者は、遅くとも午前8時にはバスに乗って霞ヶ関の東京地裁に出発してしまっていて、どんなに早くても午後の15時頃まで帰ってこない。だから記者達とかちあうはずがない。ようするに、身柄の移動などストップする必要がない時間帯なのだ。
さらに、未決囚が館内を通ってバス乗り場に向かうルートは毎回決まっており、殆どが自分の居住階から地下一階のバス乗り場にエレベーターで直行するから、その途中で刑務官以外に出会うことはまずない。
さらに、刑場は拘置所内のどこにあるかは秘密にされており、一般未決囚が出歩くコースにあるはずがない。参加した記者達はマイクロバスに乗せられて移動しているのだから、記者達の集合場所さえ勾留者達の移動コースから外してしまえばなんの問題もない。残るは面会だが、これも移動ルートは全て決まっているから、とにかく取材陣とかち合う可能性などゼロに等しいのだ。
もちろん警察署に向かう連中の移動コースも似たりよったりだから、これも記者の集合場所を隔離してしまえばなんの問題もない。ようするに、勾留者のプライバシーを盾にした法務省の言訳は全くの嘘っぱちだと言うことが分る。
許可できる時間帯が9時半から11時というのは、要するにその時間が一番暇だから。裁判所への移送も終わり、入浴は午後だから、その時間にあるのは運動と面会くらいで、これは時間を動かせばどうにでもなる。
ではなぜ法務省がこんな詭弁を弄するのかというと、ようするに面倒臭いからという理由、これに尽きる。
確かに、普段は所内に入れない連中を入れたらそのアテンドも大変だし、通常の業務を遂行しつつそちらの面倒も見なくてはならないから、余計な仕事が増えるのは理解できる。しかし、ただでさえ先進国では悪評の高い死刑制度を持っているのだから、法務省記者クラブだけに取材させて後は知りません、というのではいかにもまずい。
では、どうすればいいか、シンプルな解決策を申し上げよう。
次回の取材は休日(土日)に行えばいいのだ。
土日なら裁判所への出廷がないし、面会もほぼないから、勾留者は自室に籠もっているしかなく、プライバシー侵害など起こりようもない。
取材のために刑務官を休日出勤させなければならないが、僅か1日2日の超過勤務など、取材拒否のレッテルを世界中のメディアから貼られるよりかは余程マシ、というか比べようもない程小さな話ではないか。
それにしても、優秀すぎるジャーナリスト諸君はこんな陳腐な法務省の説明をどう思ったのだろう?
私がその会見場にいれば、即刻矛盾点を指摘していたところだが、惜しかった。
「何回も取材をさせるのは面倒なので」と本音を言うのがいやなら、海外とフリーのメディアを土曜日に集めてやったらどうですかね、法務省さん?
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