孫正義はなぜ100億寄付したか?
暫く振りの更新。ある出版賞への応募に2月末までかかりきりになり、無事終わってやれやれと思っていたら東日本大震災が発生、なんだかブログを書く気にならず随分間が空いてしまったが、また書き始めようと思う。
私は大学時代から原発反対派であり、約15年間「原子力資料情報室」の会員だったので、原発の怖さについてはよく分かっているつもりだったが、今回の事故は(政府は事象というが)想像を遙かに超えて悪夢のようだ。東電は全てが想定外だと言っているが、地震による津波発生の危険性については以前から何度も指摘されており、福島第一原発の現況は疑う余地が全くないほどの人災である。
今日はソフトバンク社長の孫正義が田原総一郎や田中光彦、後藤政志の各氏らと福島原発についてネット討論を実施。(http://www.ustream.tv/recorded/13747656) 主要マスコミが危険情報を伝えず「大丈夫です、安心です」とオウムのように繰り返す現状こそが本当の「風評被害」なのだと明快に指摘してくれて、胸のすく思いがした。
孫氏自身が福島原発付近20〜30キロの「屋内待避」地域に行ったところ、ガイガーカウンターが鳴りっぱなしになっている場所で、それを知らない住民が炊き出しをしている現場に遭遇し、涙ながらに避難を訴えたという話には衝撃を受けた。
政府が「屋内待避」と言いながら「自主避難」を促すという恐るべき矛盾を未だに犯しているせいで、避難せず踏みとどまっている人々が残らず被曝する恐るべき事態が進行している。孫氏はそれを実際に現地まで行って自分の目で見て、その恐るべき欺瞞を指弾している。その悲惨な状況を身をもって体験したからこそ、彼は自分の資産100億を義援金に寄付することを申し出たのだ。
討論の中で、彼は以下のように述べている。
「もし現在の避難地域指定が本当に正しいと信念を持って言えるのなら、政府も原子力保安院も、対策本部を30キロ圏内に移すべきだ。そして毎日そこで記者発表すればいい。だって安全なんだから。それをやらずに自分たちは安心な場所にいながら、原発は安全です、大丈夫です、などと言うのはおかしいし、やめるべきだ」
全くその通りだ。
毎日のようにTVに登場して原発や放射線について「大丈夫です、安全です」と繰り返す御用学者共。お前たちこそが
「逆風評被害」の元凶だ。国民はバカではない。きちんとした情報が与えられればパニックなど起きない。今こそ、詳細な事実と情報をきちんと開示していくべきだ。