「原発広告と地方紙」 制作裏話②
<今回の調査で集まった資料の山>
<資料を見るグリーンピースジャパン 佐藤事務局長(左)と私>
と言うわけで地方紙を調べようと思ったのですが、地方紙というのは北海道新聞などのブロック紙を除けば、朝日や讀賣のような縮刷版もなく、国会図書館でひたすらマイクロフィルムにあたらなければなりません。しかも、いつ原発広告と原発に関する記事が掲載されているかも分かりませんから、この辺りかと狙いをつけて、ひたすら目をこらして探していかなければならないので、途方もない労力と時間がかかります。これでは一体いつになったら本にまとめられるのだろう、と悩みました。
そこで、昨年と今年、前著「原発広告」の発売記念でトークイベントをご一緒したグリーンピースジャパン(以下GP)の佐藤事務局長に相談したところ、GPの会員さんにボランティアで調査に加わってもらえばどうか、というお話をいただきました。まさに地獄に仏、本当に有難いお申し出でした。最終的に30名以上の方々にご協力いただいたのですが、それがなければこの本は完成していなかったので、本当に感謝しています。ちなみに、ボランティアの方々のお名前は謝辞と共に巻末に掲載させていただきました。
こうして資料収集にかけた時間は約7ヶ月。ただ闇雲に調べてもらちがあきませんので、調査の仕方としては、各県の原発稼働の年とその前年が一番広告が出やすいだろうということで、全ての原発の稼働年・前年と、チェルノブイリや東海村JCO事故などの大きな事故年、それと福島県に関しては原発の竣工年も調べました。
ですので、例えば福井や福島のように80年代までに主要原発が稼働し始めた所は、90年代はもうあまり調べていません。本当は全ての原発を時系列に調べていけば比較がし易いのですが、それはさらにとんでもない時間がかかるのでやりませんでした。それでも、86年(チェルノブイリ事故)や99年(JCO事故)、それに311直前の2009年と2010年はほとんどの県紙を調べています。
そして前作と大きく異なる点は、今回は広告だけでなく、記事も調べて掲載したことです。「広告掲載量が多い新聞は原発翼賛記事が多いのではないか?」という仮説を確かめるためにも、この作業が必要だと考えました。特に70年代初頭の福島民報・民友の記事には、皆さんも相当驚かれるだろうと思います。
こうして、延べ136年間分の地方紙を調べ、集まった約8500カットの中から厳選した406カットが掲載されているのが新著「原発広告と地方紙 原発立地県の報道姿勢」です。そのエッセンスを紹介した販促ツイまとめもご覧ください。
原発広告と地方紙(原発立地県の報道姿勢)販促ツイまとめ - Togetterまとめ