本間 龍のブログ

原発プロパガンダとメディアコントロールを中心に、マスメディアの様々な問題を明らかにします。

広島少年刑務所暴行事件で有罪判決

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 昨日、広島少年院(広島県東広島市)で収容されている少年らに暴行を加えたとして、特別公務員暴行陵虐罪に問われた元法務教官、田原克剛被告(43)=懲戒免職=の判決公判が19日、広島地裁で開かれた。伊名波宏仁裁判長は「主任として少年の健全な更生に努めるべきだったのに、少年への配慮すらない自己中心的な犯行を行った」などとして、懲役9月(求刑1年6月)を言い渡した。

 この種の事件で実刑がでることは珍しい。9月とは実質的に半年程度だろうからたいしたことはないが、それでも同じ事件で起訴されている残り4人の判決に大きな影響を与えることは間違いない。

 この一連の報道で、私は7年ほど前に公開されたes(エス)という映画を思い出していた。1971年にスタンフォード大学で行われた実験の映画化で、模擬刑務所の中で「看守役」と「囚人役」に分かれた人々が次第に狂気に包まれていく様子を描いていた。



 看守役と囚人役の人々は無作為に集められた一般人なのだが、20日間の間、閉鎖された模擬刑務所内でそれぞれの役を演じているうちに、特に看守役が「秩序を守るために」どんどん暴力的になっていき、口答えをする者にリンチを加えるようになり、果ては反抗的な者を殺してしまう。たかが実験なのに、誰も途中で実験を中止しようとしなくなるのだ。



 
 広島少年院での暴行は、まさにその流れが昂じたものではなかったか。教官たちは、外界とは完全に隔絶された少年院の中で、暴力と恐怖で少年達を制圧し、それを「指導」と勘違いするような状況に自らを貶めていったように思える。



 もちろん、少年院に収容されている連中に札付きのワルが多いことは想像できる。しかしその連中を暴力で屈服させるのなら、それは矯正教育ではなく、ただの暴力装置に過ぎない。



 現在刑務所には不服申し立て制度があり、監獄法の改正後は全国のム所に「○○刑務所視察委員会」という、弁護士を含んだ第三者機関が設立され、受刑者からの不服申し立てを受けている。



 黒羽ではその活動報告がきちんと食堂に張り出され、即効性はなくともム所側の一方的な行動に警告やプレッシャーを与える役割は果たしていると感じた。今後は少年院にもこうした機関が必要になるのかもしれない。



 起訴された教官の中には、その指導法が有名となり全国で講演活動を行っていた人間もいた。その「効果的指導」の裏に結局は暴力があったのかも知れないと考えると、相当虚しい気持ちにさせられるが、いかがだろうか。

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