押尾再逮捕よりも重要なことは何か
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本年最初のブログ。お陰様でこのブログも着実に読者が増え、重要事件の時は官側のチェックも入るようになってきたので嬉しい限り。今年も元受刑者としての視点でニュースをお届けしていきますので、どうぞ宜しくお願い致します。
先月再逮捕され麻布署に勾留されていた押尾容疑者が今日、保護責任者遺棄致死容疑で再逮捕された。
遂に「本丸」に辿り着いたという感じだが、果たして公判維持の勝算はあるのだろうか、と考えていたら、以下のような記事があった。
<JーCASTニュース>
<昼ワイドウォッチ>警視庁は2010年1月4日、元俳優の押尾学容疑者(31)を再逮捕した。合成麻薬MDMAを服用後に容体が急変し錯乱した知人女性(当時30)に適切な救護措置を取らず死亡させたとして保護責任者遺棄致死の疑いが持たれている。容疑を否認しているという。同4日の「ひるおび!」(TBS系)などが取り上げた。
押尾容疑者は昨09年、麻薬取締法違反に複数回問われ、使用の罪で有罪判決を受け、譲渡などの罪で逮捕・起訴されている。「ひるおび」レギュラーの弁護士、八代英輝は次のように解説した。
「多くの専門家」は、逮捕容疑は「保護責任者遺棄」にとどまる可能性が高いと予想していた。女性の生死との関係を立証するのは難しそうで、「遺棄致死」までは踏み込めないのではないかと見ていたそうだ。
起訴が「遺棄致死罪」なら刑の重さから裁判員制の対象になるが、「遺棄罪」なら対象外だ。八代は「(容疑者)本人がどう語るかにかかっている部分もある」と遺棄罪での起訴もあり得る、との見立てを披露していた。
押尾容疑者を裁くことになる場に、一般市民が務める裁判員の姿は果たしてあるのだろうか。
(テレビウォッチ編集部、引用ここまで)
良くも悪くも世間注視の大事件だから、再逮捕までして起訴しないことはありえないだろう。ただ、遺棄致死まで立証できるかどうかは八代弁護士が言うとおり、押尾自身の自供がなければ相当困難な気がする。
再逮捕以降、押尾の態度は全く変わらず、ずっと否認したままだという。彼の立場になれば、実刑を避ける(既にほとんど見込みはないが)、または最小限の実刑に止めるためには、遺棄致死など絶対に認められない。だから彼のここまでの動きは、彼の側から見れば極めて合理的に見える。
だから、このままの状況で裁判になるとこれは相当難しいことになる。前回も書いたが一事不再理の問題もあるし、自供が一切無いままで裁判員裁判で公判を維持できるのか、検察は未知の領域に足を踏み入れる可能性が強いのではないか。
だが、そもそもこの押尾再逮捕は、裏でこの事件の背後に隠れている者たちのあぶりだしこそが最大の狙いであったはずだが、そちらの方はその後全く新しいニュースが聞こえてこない。
警察・検察は最初の逮捕で事件の幕引きを狙ったものの、民主党政権の誕生で方針を変えざるをえなくなり、ようやくここまで引っ張ってきたはずなのに、結局それはポーズだけで、押尾に重罪を与えて幕引きを図る方針に逆戻りしたのだろうか。だとしたらとんだ三文芝居だ。
この事件が投げかけた不信とは、いわゆる富裕層(特権階級化した金満層)とバカなタレントたちが、カネにあかせて法律を破っているのに全く罰せられないのではないか、というものだったはずだ。
自民党政権下ではそのような不条理も平然とまかり通ったが、時代は変わったのであり、今こそ昔年の膿を出し切るべきだ。
押尾事件とは、実はそういう格別の意義をもたらした事件なのであり、もはや押尾自身が何年の刑になるとかは些末な問題でしかない。その点を絶対忘れてはならないだろう。